83万人、32.3万人〔7953〕2025/01/23
2025年1月23日(木)晴れ!
高校の大先輩にして、元京都大学総長の地震学者、尾池和夫先生は、現在の南海トラフ発生確率(30年以内に80%)の根拠について、以前から疑問を投げかけておられました。日本列島で予想される他の地震の予想方法と、南海トラフ地震だけが違っており、その予想の根拠となっている古文書の解析方法の信頼度などから、想定のやり方を根本的に変える必要があるのではないか、という話。
で、そういった見直しの議論が、専門家の間で始まっているらしい、という記事が、こないだ、新聞に載ってました。そうでしょうねー。80%という数値は、恐らくは変更されると思う。そして新しい、地震発生に関する警告の方法が考え出されてくるものだと思われます。最先端の専門家の、最新のデータに基づく知見によって。
こないだも書いたように、いつ、どの規模の地震が発生するかの正確な予想は不可能。プレートの緊張が高まることにより発生の危険度が上昇しているのは間違いないけど。さあ、どのような指標になるんでしょうかね。
こんな話題を書いているのは、1556年1月23日、つまり469年前の今日、当時は「明」だった中国内陸部で大地震が発生し(嘉靖大地震)、地球の歴史で記録された中では最多の、83万人以上の人命を奪ったとされているからであります。「明史」という正史に記載されている数値なので、そこそこに信頼できるとして、凄まじい数字。世界の中でも人口が多い地域であったこと、そして、当時のその地域の住宅には、地形を利用した快適な「窰洞」という横穴式住居が多く、その住居が地震によって壊滅的被害を受けたこと、などが、死者が多くなった理由に挙げられてます。
ちなみに、日本では、有史以来最大の死者行方不明者を出した災害は、1923年の関東大震災。約10万5000人で、第二位がまだ記憶にも新しい2011年の東日本大震災。約2万人の犠牲者を出しています。
このグラフが、20世紀以降の地球上の自然災害犠牲者数ランキング。1970年のバングラデシュのサイクロンでの30万人というのが第一位。その後に、やはり中国の地震、インド洋の地震津波、ハイチの地震と続いています。
さて。来るべき南海トラフ地震の死者・行方不明予想者数は、どうなっているでしょうか。Googleの生成AIによりますれば、被害が最大となるケースで、30都府県で323,000人の予想となっているのでした。そう。最悪の場合、20世紀以降の地球上で発生した自然災害の中でも最悪の被害となる、という予想。
僕らは、そんな列島に暮らしている、ということを、いつも忘れてはなりません。
もちろん現代は山の横穴住宅で暮らしたりはしていない。しかし、人口増から密集、都市開発など、昔はなかった危険が増えているのも、事実。正確な地震予知が不可能である物理宇宙に暮らしている以上、最悪を想定し、備えていかなくてはならない。そんな1月23日。
ここは、弊社から南へ行った海岸近くの津波避難タワー「下島浜タワー」。南国市の津波避難タワーは、平常時からこうやって開放されてるのがいいね。