巨大地震と砂山〔7944〕2025/01/14
2025年1月14日(火)晴れ
昨日、巨大噴火と日本列島のこと書いたけど、僕らにとっての喫緊の課題は南海トラフ大地震であることを、昨夜の日向灘地震が思い出させてくれました。まず、対策対応しなくてはならないのが、南海トラフ大地震だと。高知市内、揺れは感じんかったけど、津波注意報で起こされました。
今朝の新聞にもあるように、震源域は昨年8月の地震と似た場所。ですが、今回は、昨年のような「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」は発表されず、取り敢えず「南海トラフ影響なし」という発表が為されたのでした。なるほど。
僕が思うに、今回の地震と昨年8月の地震で、南海トラフとの関連性で言えば、そんなに差はないでしょう。昨年の(巨大地震注意)で自治体によって対応がわかれ、人の動きにかなりの影響が出たことも配慮してるんではないか、そんな気もします。
大切なのは、今回の発表で南海地震の発生可能性がなくなった訳では決してないこと。いつ発生してもおかしくない。そして最も重要なことは、いつ発生するかの予知はできない、ということでしょう。少し地学を齧った人なら、それはわかると思う。
このにっこりでは、よく、「歴史はべき乗則で動く」という本のこと、書いてます。この本には、いつどんな規模の地震が発生するかを予知することは不可能である、と、ハッキリと論理的に書かれてますね。で、こんな実験を紹介してました。砂山実験。
砂粒を、一粒一粒落としていくと、そこには砂山ができる。できた砂山のてっぺんに更に砂粒を落とし続けると、突然砂山の斜面が崩壊して崩れる。そのタイミングは、まったくの偶然でしかない。崩壊してからも、更に砂粒を落とし続けると、また崩壊する。前回の崩壊からそんなに時間が経ってなければ、小規模の崩壊となり、時間が経って多くの砂粒が落とされてから崩壊すると、その崩壊規模は巨大になる。その、砂粒の数と崩壊規模の相関関係はべき乗である、という実験。実際に砂粒でやったんではなく、コンピューターによるシミュレーションやけど、この実験の示唆するところは、意味深い。
南海トラフでの、陸上プレートと海洋プレートの緊張が高まるのは、砂粒が一粒一粒落とされていっているのと同じ。そして、プレートがズレて巨大地震が発生するのは、砂山の斜面が崩壊するのと同じ。いつ斜面が崩壊するのか絶対に予測できないのは、いつプレートがズレるのか予測できないことを示唆しており、落とされた砂粒の数が増える、つまりプレート間の緊張が高まれば、その砂粒の数や緊張のべき乗で、規模が大きく砂山が崩壊し、プレートがズレる。そういう理屈。
だから、ひょっとしたら今回の日向灘地震が引き鉄になって巨大地震が起きないとも限らないし、可能性が高まったとも言えないし。この難しい状況を一般社会に知らしめるのは、誤解も招くし過剰反応も招くし、なかなか大変。今回のこの発表には、当局のそんな苦悩を垣間見てしまうのでした。テレビとかでも、この砂山崩壊の話で説明したらいいのにね。
でも、「ちゃんと対策しておかなくちゃ」というきっかけにはしましょう。そして冷静に、対応を。いつ、南海トラフ巨大地震が発生してもおかしくない場所と時期に、暮らしているという事実に変化はないから。