大陸移動説と寺田寅彦〔7936〕2025/01/06
2025年1月6日(月)小雨
今日から仕事の方、頑張ろうね。雨やけど。なんか、久々の雨の朝。空気もカラッカラに乾いてたので、恵みの雨でしょうか。
さて。1912年1月6日、つまり113年前の今日、フランクフルトで行われた地質学会で、ドイツの気象学者、アルフレート・ヴェーゲナーが「大陸移動説」を発表しました。現代のプレートテクトニクス理論につながる、画期的な学説。
しかし、この説、特にアメリカ界隈の学者から激烈に批判され、「専門外の学者の珍説」扱いされることになり、1950年代、1960年代にプレートテクトニクス理論が発展するまで日の目をみなかったのは、有名。抹殺されたと言うてもいいくらい。
今、地球儀を眺めてて、アフリカ大陸とアメリカ大陸がパズルのピースみたいになっているというのにどうして気付かんかったんだろう、と思うけど、ほとんど誰も思いつかなかった訳だ。人間の「あり得ない」という思い込みは真実を隠すといった典型例でしょうか。その頃主流であった、地球が冷えて収縮していることによる「陸橋説」よりも、ずっと説得力あるのにね。
で、我らが寺田寅彦先生。高知が誇る偉大な物理学者、寺田寅彦先生がヴェーゲナーの「大陸移動説」を日本に紹介したのは1924年のこと。それも、かなり肯定的に捉えて。この辺の直感力、想像力、そして好奇心が寺田物理学の真骨頂やね。
ヴェーゲナーの説には弱点もあった。大陸を動かす原動力がわかっていなかったこと。寺田先生、この「大陸移動説」を紹介するだけでなく、自分の考えを加え、自分の研究室で大陸移動シミュレーション実験まで実施して、発表しているのであります。そして、大陸が移動する原動力に、現代のプレートテクトニクス理論につながるような考察をしているのが、すごい。このページに詳しく書いてました。
この文章には、随筆「茶わんの湯」の観察などから地球規模への物質の流れへ連想を進めていく発想力が、寺田物理学の真髄だと書いており、その通りだと僕も思う。僕の言葉で言えば妄想力だ。
更に寺田先生は、関東大震災の後、流言が拡散する可能性に対して論理的に警鐘を鳴らしても、います。今一度、「寺田寅彦」という人物についての評価を考えてみたいですね。
写真は、立田駅からのいち駅へ向かう土佐くろしお鉄道ごめんなはり線の2番列車。本社棟2階から撮影。その向こう、雨に烟って見えているのが三宝山。プレートテクトニクスによる付加帯として盛り上がった山。大陸移動説から発展したプレートテクトニクス理論で説明できる、山。