時化の話〔7806〕2024/08/29
2024年8月29日(木)雨
遅い。遅すぎる。なんだこの台風は。現在の予報では、明日金曜日の朝はまだ九州で、明後日朝、僕らの高知界隈で、その翌朝は室戸の沖で、その翌朝にやっと近畿の北。どうなっちょらあ、と言いたくなるような予報で、日配食料品製造業者としては、その対応対策に追われる毎日。こんな気候になってしまったのも、人類のしでかしたことの結果かも知れません。それにしても、遅い。
8月最終週ということで、いろんな計画を立てておられた方や、イベント開催もあったと思うけどね。強力で遅い台風に翻弄される日本列島。
ここは物部川。一昨日の朝撮影したのと同じ場所で撮影。水量は少し増えてきました。山でもそこそこ降り始めています。これから週末まで続く台風で、どうなることやら。高知 の海も、今朝から少し時化模様。そう。時化。しけ。
僕は、「時化」という言葉を、「台風のような荒れた天気」という意味でも使ってきた気がします。急に激しい風雨となった時には「まるで時化やねー」と言うたりして。海と関係ない場面でも。ところが。ウィキを見ても辞書見ても、「時化」は「強風などの悪天候で海上が荒れること」とあり、対義語は「凪」。基本、海が荒れるのが「時化」というのが世間の常識なのだ。僕はずっとずっと誤用してきたのか。
調べてみました。そう。我らが大槻文彦氏の労作「大言海」だ。明治期に編纂された「言海」を元に昭和12年までかかって編纂された「大言海」。手元にあるのは昭和31年に初版が出された新訂版「大言海」の、第54版。これ見れば、明治の頃に「しけ」はどういう意味で使われていたのかを伺うことができるのである。あります。
志け(名)
「陰」[風雨氣(シケ)ノ義]
(一)水氣ノ多キコト。シメリケ。(湿地ナドニ)
(二)風雨ノ續クコト。(舟人ノ語)
(三)轉ジテ、海、荒レテ、魚ナドノ捕ラレヌコト。(漁夫ノ語)
そう。ここには「時化」の字は、ない。どうやら湿気が語源で、舟人によって「風雨が続く」意味で使われるようになり、漁師さんによって漁ができないくらい海が荒れるといった意味で使われるようになった、と理解できるよね。
まあ、ここでも、通常の台風のような荒れたお天気を「シケ」と呼ぶとは書いてないから、やはり僕の使い方は誤用っぽいっちゃあ誤用っぽい。
ともあれ、「シケ」が「時化」という漢字で書かれ、海が荒れる様子を表現するようになったのは、意外に最近のことなのかも知れない、などとまったり考えておる場合ではなくて、今朝も今から台風対策、対応協議を始めんといけません。
それにしても、遅い。