伊豆田峠と「雲のちぎれる時」〔7556〕2023/12/23
2023年12月23日(土)晴れ!
ひやいねー。今朝もひやかった。ひやいけど、冬はこうでなくっちゃね。
日経新聞、今月の「私の履歴書」は、女優の倍賞美津子さん。寅さん映画の「さくら」が有名やけど、その芸歴の始まりは松竹歌劇団だったんですな。歌と踊りで頑張ろうとしていた時、ご本人の意思でもないまま、女優、歌手といった道を歩むことになったんだそう。まあ、マルチに才能があったんでありましょう。すごいですね。
その「私の履歴書」で、高知が出てきました。まだ若手女優だった頃、バスの車掌さん役で、佐田啓二、有馬稲子と共演した映画「雲がちぎれる時」のロケを、土佐清水でやった時の思い出を綴っておたられたのでした。お母様がバスの車掌さんだったので、思い入れ絵が強かったみたいです。
「雲がちぎれる時」は、田宮虎彦の小説「赤い椿の花」を原作にした映画。東京出身やけど両親が高知出身の田宮は、「足摺岬」とか、高知を舞台にした小説を書いてますよね。
「雲がちぎれる時」では、中村から土佐清水へと向かう途中の、切り立った崖の狭い狭い道を走るバスが重要な役割を果たしてます。運転手が佐田啓二ですきんね。伊豆田峠の道。
その映画の、バスが山道を走る場面を、郷土史の先輩、今井さんに観せて頂きました。すごいね。すごい。今では考えられないくらい危険な道。それでも、清水から中村までバスが通ったということは、地元の皆さんにとっては画期的なことだったんでしょうね。
その危険な道で、幾度か転落事故が発生していますが、一番大きかったのが昭和32年のバス転落事故。5名の方が、亡くなってます。その2年後に「伊豆田隧道」が開通し、その危険はかなり緩和されてます。
「雲がちぎれる時」は、そんな、トンネル開通直前の伊豆田峠を舞台にドラマが繰り広げられるのでした。たぶん、その転落事故を下書きにして。
そんな訳で、その、映画に出てきて今は廃道になっている伊豆田峠の道を走ってきました。会社でふた仕事ほど済ませてから、汽車に乗って中村へ。そしてバスで、伊豆田北坂停留所。
現在は、その昭和34年に開通した隧道も閉鎖され、長大な国道トンネルで、足摺方面へ行くことができます。映画で開通を心待ちにしていた隧道は、今は土砂に埋もれてました。
その手前から、映画に出てきた道を駆け上がってみました。狭いねー。当時のバスの運転手さん、すごい。
写真は、その峠。いや、これがその道なのか、迷い込んだ林道なのか、わからない。ただ、この切り通しの峠には、先人の努力と思いが詰まっているような気がして、撮影してきました。
ここを駆け下ると、市野々バス停。走って走って、ギリギリ帰りのバスに間に合いました。間に合わんかったら2時間待ちなので、頑張りました。
このページに、伊豆田峠については結構詳しく書いてますね。
今一度、倍賞美津子さんは車掌のバスの場面を観てみました。現在の便利な社会は、先人の、今では考えられないような努力の上に成り立っている。そんなことを思い起こさせてくれる、貴重な貴重な映像。