銭湯と中山間と社会の変化〔7447〕2023/09/05
2023年9月5日(火)晴れ!
朝、出勤する時には雨が降ってて驚きました。今は、晴れてます。この季節の天気予報って難しいねー。昨日の高知市はこの夏一番の暑さで、まだまだ暑い、高知の夏。
今朝の高知新聞に、こんな記事が。「県内銭湯50円値上げ450円」。まだ400円だったのか。この燃料高の状況下、400円で頑張ってたのがすごいよね。ご苦労様です。
で、この記事読んだら、高知県内の銭湯は全部で6軒。高知市内だと4軒になっている、とのこと。減ったねー。8年ほど前に高知市内の銭湯を探検したときは、高知市内で6軒営業してました。あのときも入浴料は400円。
2015年時点で営業していた高知市内の銭湯は、愛宕温泉、清水湯、高砂湯、土佐温泉、城下湯、それに潮湯でした。全部行って入浴したけど、このにっこりでは、迂闊にも潮湯を紹介し忘れてますね。幸いなことに潮湯さんは今もやってるので、また行ってみなくっちゃ。
そう。この中で現在も営業しておるのは清水湯、高砂湯、土佐温泉、潮湯。愛宕温泉はだいぶ前に休業となり、あの結構立派だった城下湯も現在休業中。だんだんと貴重になってきた、高知の銭湯。
以前、「月刊土佐」のバックナンバーで「高知市銭湯地図」というのを紹介したこと、あります。今から3年前のこと。昭和59年発行の「月刊土佐」の特集は「銭湯慕情」。昭和59年当時、高知市内で営業していた銭湯はなんと51軒。昭和49年には65軒。そして昭和30年代後半にはなんと90軒の銭湯が営業してたというからすごいね。それが、今や、4軒。時代は、そして社会は、変わってゆく。昭和は遠く、なりにけり。昭和59年の段階で「慕情」というくらいなので、既にノスタルジー感あふれる施設となっていた、銭湯。日帰り温泉とは違う、ご近所感満載のお手軽銭湯は、行ってみるといい感じなんですけどね。瓶入りひまわりコーヒー飲んだりして。
その隣の記事。高知県の「中山間地域再興ビジョン」委員の女性が、女性雇用こそ少子化対策である、と、データを並べながら論理的に説明しておられます。「昨年、県外に流出した人口は女性が男性の2倍以上で、ほとんど20代前半。これだけ若い女性がいなくなっているのに、その先の子育て支援なんて焼け石に水。そこを意識しないと、県の未来は正直言って厳しい。」「高知市が中山間人口を刈りつくしてなんとか生き残るということをやると、いずれ周りが死んで、東京だけが生き残る。中略。中山間振興は高知市が頑張らないと歯止めが利かない。高知市が県外からの転入超過になれば、にじみ出しで周りも増える。中山間地域だけが頑張ってもだめだ。」
なるほど。一理、ある。僕は、高知のこれからのことを考えることは、地方公共交通のあり方も含めて、壮大なる社会学だと思ってます。中山間の、地方自治体の、日本という国の将来がどういう形であるべきか。どういう社会でないと生き残っていけないかという、切実にして壮大なる社会学。
霞ヶ関で、大都会にしか住んだことが無い役人が、目先の人口だ経済だと議論をこねくり回している間に、この国は、どうなっていくんだろう。まず、「地方が何か良いアイディア出してきたらお金を出してあげましょう」みたいな上から目線はすぐにやめて、将来の国の姿、社会の姿を考えて政策を練る。まずは、国が練る。地方自治体や地方に住む人、企業がいくら頑張っても、国全体の社会のありようは変えられないから。
銭湯がなくなっていくのは寂しいけど、社会の姿が変化していく中では、ある程度仕方のないこと。でも、中山間から人がいなくなり、地方都市からいなくなり、東京近郊だけに集中していくという社会変化が「仕方ない」ことなのかどうなのか。並んだ二つの記事を読んで、そんなことを思う朝。
さあ、それはそれとして、仕事を始めよう。今日も暑いねー。善き哉善き哉。