朝の稲生とおいしい土佐酒〔7337〕2023/05/18
2023年5月18日(木)薄曇り
出勤するのに、今は、高知東部自動車道を利用してます。高知南ICから高知龍馬空港ICまで。この道路からの眺望は絶佳で、毎朝毎朝違った風景を見せてくれて、楽しい。今は夜明けが早くなったので、4時半頃に通っても、もう、夜明け前の風景を楽しむことができます。
でも、運転中なので写真が撮れない。そこで今朝は、自動車道に乗らず、下道を走ってこの地点から撮影してみました。夜明け前の稲生、鉢伏山。稲生の石灰工場群が、なんともかんとも「工場萌え」感を醸し出しているではありませんか。
あそこは、鉢伏山の南、下田川沿い。いつもガスがかかったような素敵な雰囲気で、夜明け前の赤い空をバックに浮かび上がる石灰工場群が、見事。
地質図を見るとこうなっていて、仏像構造線の北側、秩父累帯南帯の、石灰岩の多い地層であること、わかるよね。三宝山と同じ地層で、この青いのは石灰岩層。この地層を西へ辿ってみると虚空蔵山の南の、あの工場萌えで有名な白石工業さんがあるところに繋がってます。
石灰岩層は、もう少し北にも東西に伸びていて、例えば白木谷の石灰や土佐山の石灰は、その地層。同じ秩父帯やけど、ちょっと違う時代の石灰岩層。
どうやらそちらの、北側の石灰岩層の方が、石灰岩の量が多いみたいで、今はそちらの方での採掘がメインになってます。あの、稲生の鉢伏山では、もう、採掘はしていません。
白木谷や土佐山の石灰岩層を、西へと見ていくと、四国最大の石灰岩採掘場所、鳥形山に繋がってます。この青い色を見るだけで、鳥形山の石灰岩がいかに豊富であるか、見てとれるよね。なので、昔は鳥が羽を広げているように見えた山も、今はこんな感じ。
ところで日本酒の話。日本酒と日本の地層、地質の関係をお話しよう。日本酒で有名どころといえば灘、伏見が挙げられます。灘は、瀬戸内海に面してて六甲山からの水に恵まれた立地。このにっこりを読んできた皆さんには常識ですが、あの界隈は花崗岩地帯。花崗岩を通して流れてくる水は、日本酒造りにとって大敵である鉄分が少ない。そして、六甲山麓の、貝殻などが多く含まれる地層を通ってくることで、カルシウムを多く含むことになり、そのカルシウムが酵母の発酵を助けて力強い淡麗辛口のお酒ができる、という理屈、らしい。
伏見はというと、チャートを中心とした地層を流れてくる水が使われるので、これまた日本の地層には珍しく鉄分が少ないので、これも日本酒造りに適している。でもカルシウムが少なめなので優しい風味となり、なので、灘の「男酒」に対して伏見の「女酒」と言われたりする、らしい。
そこで土佐の酒。そう。土佐には石灰岩層が多く、その地層を通って流れてくる水にはカルシウムが多い。また、チャートも多いので鉄分は少なめ。という地質条件が、土佐の酒を淡麗辛口のおいしいお酒に仕立て上げている、と考えたら楽しそうだ。そう。これは僕が勝手に想像していることやけど、食文化ってのは、古今東西、その土地の気候や土壌、地質によって育まれてきているので、土佐の酒文化にも、今朝のこの風景が関係しているなどと想像したら、楽しいね。楽しくないですか?
その花崗岩もチャートも、そして石灰岩も、プレートの北上と潜り込みによってできた訳で、それは、大地震や津波を引き起こすと同時に、こんな恵みを我々に届けてくれている訳で、それが、地球。