高知県の花と実〔7338〕2023/05/19
2023年5月19日(金)雨
5月の雨。しとしと降ってます。この雨も上がって、久々に晴れた週末になりそうやね。善き哉善き哉。
まだ梅雨入りには早いけど、梅雨の雨にはヤマモモの実が、よく似合う。本社棟裏手のヤマモモも、雨の中、色づき始めてます。この樹は、実をつけてるので当然「雌」な訳やけど、近くに「雄」のヤマモモは見当たらない。ヤマモモの花粉はかなり遠くまで飛ぶらしいので、それでかまんらしいのですね。この実のお父さんは、どこに居るんだろう。
高知でヤマモモといえば「亀蔵」という話も、幾度書いたことやら。十市の山中にあるヤマモモの巨木を見つけたのが島田亀蔵さん。あまりに実が大きくて美味しいので、亀蔵さん、それを接木で広めました。そして美味しいヤマモモといえば「亀蔵」と言われるくらいのブランドになった、という話。その原木を訪ねたことも、あります。
ヤマモモ。言わずと知れた「高知県の花」。
昭和29年3月に選定された、高知県の花、ヤマモモ。実の方が目立つし有名ながやけどね。でも「高知県の実」というものは、無い。仕方ないので「高知県の花」。仕方ない、ということはないけど、ヤマモモの花を高知県の花に選んだ選定委員長が、「郷土の花」のヤマモモの欄に「花 残念!実があったら」という手書きメモを残しているそうで、この選定委員長もヤマモモの「実」をイメージしながら花を選んだことが窺い知れるのでありました。そうね。ヤマモモの花、と言われてもピンと来んもんね。
この「花 残念!実があったら」というメモを残した選定委員長が、言わずと知れた牧野富太郎博士。毎朝「らんまん」で楽しませてくれている牧野博士。昭和29年と言うと、亡くなる3年前。91歳。「日本植物友の会」とNHKが、各県の花を決めようと全国から募集したんだそう。で、高知県からはノジギクがエントリーされたけど、既に兵庫県がノジギクを出していて決定したので、東京大学の先生が「牧野先生、ヤマモモはどうですか?」と言うたので、「そりゃあよかろう」と決まったとか。高知新聞の昔の記事に書いておりました。なるほど。
このエピソードから想像するに、牧野博士の頭には、ヤマモモの「実」が強くイメージされていたんではないだろうか。そうすると、偉大なる牧野先生の想いを汲んで、ヤマモモは「高知県の花と実」ということにしても良いのではないか、などと思う5月の雨の朝。ヤマモモの花は終わり、実が、赤く色づき始めてます。雨にはヤマモモがよく似合う。
高知県の花と実、ヤマモモ。