地下水を軽率にいじってはいけない〔7328〕2023/05/09
2023年5月9日(火)晴れ!
昨日の高知新聞は、5類移行の記事で溢れてました。この左側のページにも、高知県からの、5類移行に伴う対応の変更点などについてのお知らせがドカンと掲載されてました。さあ。どうなるんだろうね。とにかく、前へ進むしかないよね。
で、右側のコラム。高知新聞の「常夜灯」というコラムに、久々に尾池先生が寄稿されてました。幾度もこのにっこりでは触れてきたのでご承知だとは思いますが、言わずと知れた京都大学元総長で、現在は静岡県立大学の学長さん。僕の高校の、尊敬できる大先輩。地震学が専門の地球科学者。
この「常夜灯」には何度も登場してて、僕が一番印象に残っているのはこの文章。1918年から15年の歳月をかけて掘られた、東海道線の丹那トンネル工事によって、丹那盆地の水が下に抜けてしまい、美しい山葵田が広がっていた丹那盆地が牧畜地帯になってしまった、という話。そして、その「水抜き」によって北伊豆地震を誘発されてしまった可能性がある、という話。吉村昭さんが「闇を裂く道」で、その事実を小説にしてくれているので、これはぜひ読んでもらいたい。
で、今回尾池先生が書いておられるのは、表題が「地下水と湧水の文化」。静岡市葵地区、静岡県最北端に位置するこの地域にある「井川地区」の話。大井川の上流。そこの小中一貫校の9年生の子が、その地域の「湧き水」を研究した成果を公表していて、湧き水とともに暮らす地域の人々の暮らしを見ることができる、と書いてます。
今日のコラムは、リニア中央新幹線工事で、トンネルが大井川の下に掘られると、丹那トンネル工事が断層を突き破ったことで丹那盆地の水が抜けてしまったのと同じようなことが起きる可能性がある、という論旨。それだけではなくて、現在微小地震が激増している南アルプスで、トンネル工事が断層地震を誘発する可能性も、無いわけではない、というのであります。北伊豆地震のように。
地下水を軽率にいじってはいけない。この、専門家中の専門家の方が発する言葉は、重いと思う。
尾池先生が新幹線に乗るとき、新丹那トンネルでは不安を感じない。すぐにズレる可能性が低いから。しかし、富士山噴火を意識し、音羽山のトンネルとかを受けるときには緊張するんだそう。もしそこを走行中に断層地震が発生したら大惨事になるから。
地球は、まだまだわからないことだらけ。謙虚な姿勢と、科学的な思考が大切。尾池先輩は、いつもそんなことを教えてくれます。
井川地区の水は抜けないかも知れないし、断層地震が誘発されることはないかも、知れない。しかし・・・・
尾池先生、京大総長時代に「総長カレー」をつくって好評を博したことでも有名。今もレトルトで売ってるらしいので、購入して食べてみよう。謙虚で科学的な思考ができるようになるかも知れません。