用心用心また用心〔7222〕2023/01/23
2023年1月23日(月)
今朝は一旦気温が少し上がってます。雨なんで。しかしこれから一気に急降下、という予報。雨の後で気温が下がると、凍結が怖い。運転にも仕事にも体調にも気をつけんといかんですね。道路とかにも影響が出んことを祈るばかりの月曜日。
さて。以前、物部川の堰について書いたこと、あります。昭和34年当時には、山田堰から河口まで、合計8つの堰が構築されていた、という話。そのうち下流の6つが統合されて統合堰、通称町田堰が完成したのが昭和41年。上流の2つ、山田堰と父養寺堰が統合されて合同堰ができたのが、昭和48年。そして、物部川の扇状地を潤しているのであります。で、今も、堰が統合される以前の堰ごとに土地改良区がありますね。
「土佐史談」281号に、仁淀川で野中兼山さんが行った堰の構築事業で、とてつもない功績があったのと裏腹に、日高村や伊野の枝川などに洪水をもたらす影の部分もあったのではないか、という考察の前編が掲載されてました。
そうなんですね。ある程度の、ある地域の犠牲のもとに、巨大な土木工事が行われたという事実は、まあ、間違いないところでありましょう。
ただ、仁淀川の場合は、その地形も大きく災害に関係していたと言えます。日高村は、仁淀川に流れ込む日下川沿いの村。そして、仁淀川と比しての標高差が、あまり、ない。枝川も、仁淀川に流れ込む宇治川沿いの町で、標高差が、あまりない。なので、大雨が降って仁淀川が増水すると、日下川も宇治川も仁淀川へ流れ込むことができなくなって洪水となる。そんな、メカニズムが想像できます。2018年の西日本豪雨とか、2019年台風19号での千曲川の氾濫とか、2020年の九州豪雨とか、毎年のように話題になっているのがバックウォーター現象で、日下川でも宇治川でも、場合によってはバックウォーター現象による氾濫が、繰り返されてきたんではないだろうか。
ところが物部川。物部川って、山田堰のところまでは山間を流れ下り、そこから一気に平野に出て広い扇状地を形成しておりまして、扇状地に出ると、河口部まで、流れ込んでくる支流が、ない。なので、物部川扇状地では、日下川や宇治川のような氾濫は、発生しません。そのかわり、ひとたび大氾濫をおこすと、扇状地を覆い尽くすような大洪水が幾度も発生してきた、物部川。
流れ込む支流がない、と書いたけど、ひとつ、あります。河口部に流れ込む後川。藩政期、文化十二年の大洪水は「亥の大変」として語り継がれる大洪水で、後川は、物部へ流れ込むことができずに逆流し、出口のなくなった水が浜堤を突き破って海へ流れ込んだ、と言います。「切戸」の地名が、その史実を伝えてくれますね。いま、そこには水門がつくられ、後川がバックウォーター現象を引き起こした場合は、そこから放水できるように、なってます。
写真は、後川が物部川に流れ込むところ。空港の滑走路がきれいやけど、洪水対策にとっては重要な後川河口。
今は、いろんな治水対策が行われている物部川。地震対策もあって、巨大で頑丈な堤防の間を流れている物部川。ですが、自然の威力は、僕らの想像を超えてくる。用心用心また用心。
今週は、気温の低下と気象に用心用心また用心。