義務教育学校〔7209〕2023/01/10
2023年1月10日(火)小雨
「義務教育学校」というの、ご存じでしょうか。文科省によると「学校教育制度の多様化及び弾力化を推進するため、現行の小・中学校制度に加え、小学校から中学校までの義務教育を一貫して行う学校」とのこと。2016年に制定されたこの制度、文科省はあくまでも「コストダウン」とは言うてないけど、そういう側面も大きいことは、まあ、公然の秘密だ。
で、現在高知県内に設立された「義務教育学校」は。今のところ、調べた限りでは3校ありました。
高知市立義務教育学校行川学園
高知市立義務教育学校土佐山学舎
大豊町立大豊学園
なかでも大豊学園は、2022年4月に開校したばかりなので、その名称にはまだあまり馴染みがない方も多いんではないでしょうかね。大豊小学校と大豊中学校が一体となってできた、大豊学園。
大豊町ってのは、以前も書いたように、日本で最初に「限界集落」という言葉が使われた過疎の町。ほとんどが山で、土佐町や本山町のような盆地もない町。
ただ、山の斜面には美しい棚田が広がっていたりして、ビックリするくらい山の上にも集落が存在します。弊社の青汁「菜食健美」の原料は、この大豊町の農家さんに栽培して頂いております。その主産地のひとつ、大豊町怒田(ぬた)にも、かつて、小学校がありました。
その怒田小学校は、遠い昔に東豊永小学校に統合されました。僕が中学生の頃、吹奏楽部の合宿に来た、東豊永小学校。その学校も、いつしか豊永小学校に統合されてなくなりました。
そして2014年4月には、その豊永小学校も、大杉小学校、大田口小学校と合併して「おおとよ小学校」になり、豊永地区から小学校は消滅。
そして昨年4月、その「おおとよ小学校」も廃校となって、大豊学園が、誕生。
子供が少なくなって、学校がなくなっていく。学校がなくなるから、子供がいる家族が住まなくなる。
このスパイラルは、現代の日本の状況を形成する大きな特徴だと、思う。なんせ、そういった政策を考えて決定している人が住んでいるのは、夥しい人々が暮らす大都会ですきんね。
大人数で学習した方が、社会性も身につくし、競争の中でレベルアップする、という理論は、今はもう、全然支持されてません。逆に、少人数の方が成果が上がるという報告の方が優勢。
文科省にこんなページがありました。これ見ても、1学級あたりの児童数では、日本は世界のトップクラスで、初等中等教育費対GNP費では、最下位クラスであること、わかります。
これにはまだカラクリがあって、なかなか古いデータしか無かったけど、「学校規模」の国際比較ではヨーロッパと比較するととんでもない状況になっている、日本。これ、1999年のデータ。なので、それからの学校統廃合の歴史に鑑みて、今は、ダントツ世界トップクラスとなっている可能性は、高いですね。これって、教育においても日本のガラパゴス化が進んでおると思わざるを、得ない。グローバルスタンダードはどこ行った?
現代の、初等、中等教育の、学校規模国際比較をグラフにしてみたら、かなりのインパクトがあるよね。やってみると、いいね。
そろそろ、人口減少だけではなくて、こういった中山間の問題や学校の問題を、真剣に考え始めんといけません。
いや、地方は、なかなか頑張ってます。必死にやりくりして、その地域の文化や生活を維持し、残していこうと。今日、用事があってやって来た「大豊学園」も、とてもいい学校。地方ができる精一杯。
これからの日本を担うのは、今の子供たちである。この事実に変わりはない。大人には、子供たちに美しい国土、風景、文化、社会をちゃんと、キチンと繋げていく責任が、ある。