秋は「深く」、金木犀〔7122〕2022/10/15
2022年10月15日(土)晴れ
昨日あたりから、匂い始めました。本社棟前のキンモクセイ。金木犀。金木犀が匂い始めると、秋も本番。秋深し。この「深し」という表現って、秋にしか使わんのが日本人の感性なんでしょうかね。夏も冬も春も「深まる」とは言わない。この、なんというか静かに濃ゆくなっていく感じが「深し」なんでしょうか。
そう言えば、金木犀の花言葉で代表的なのが「謙虚」。花は小さいのに香りが高いことから、そんな花言葉になったとウィキに書いてます。真相は知りません。
で、ついでにウィキを読んでみると、金木犀は江戸時代に中国から雄株だけ渡来し、繁殖ではなくて挿し木で日本国中に増えていったと書いてます。大陸からやってきて、繁殖で増えない、ということで言えば、彼岸花とかと似てますな。
そんな訳で、中国にはたくさんの種類のモクセイが存在し、バリエーション豊かなのに対して、日本ではこの金木犀が特異的に広がったんだって。これは、日本だけの現象。なので、中国行ってもどこ行っても、「秋になると金木犀」ということにはならん、らしい。
オリーブもモクセイ科で、モクセイ科植物全般を英語で「fragrant oliveと表現し、金木犀は「fragrant orange colored olive」となります。このfragrant、堪りませんねー。秋深し。
本社棟玄関前にコンデジ置いて、午前5時過ぎ、真上の空を撮影。右手が本社棟。これだと全然わからんけど、左の樹木が黄色い花が咲いている金木犀。真上にお月様。これだと全然わからんけど、お月様の左には赤く輝く火星。
火星と金木犀。この時間帯、空には金星も木星も見えてなくて、ただ、金木犀の香りが一面に漂うばかり。この匂いは「謙虚」でもなんでもないけどね。強烈な存在感の、香り。
謙虚な小さい花から放たれる、香り。これが江戸時代の日本人の感性を刺激し、挿し木で広まっていったのでした。
日本って、日本庭園に代表されるように、自然と人工を調和させて静かな美を追求していく、という歴史がありますね。そんな感性。そんな感性が、金木犀の広がりを生み、こうやって楽しむことができる。日本で生まれてよかった、と思う瞬間。
秋深し。
漂う香りの中、そろそろ、静かに、濃く深く、仕事を始めますね。