命山はスポーツセンタータワーに〔7123〕2022/10/16
2022年10月16日(日)晴れ!
昨日の高知新聞に、国内最大級の津波避難タワーが完成した、という記事。場所は、南国市前浜。南国市立スポーツセンターがある場所で、その名も「スポーツセンタータワー」。収容人数820人。でかい。高知市種崎の船倉津波避難タワーの796人を抜いたのでした。
元々、「命山」をつくる、という計画でした。
そう。東日本大震災以降、僕は、このにっこりひまわりに幾度も幾度も「命山」について、書いてきました。人工の山を津波避難所にすれば、いろんなメリットがあるのに、と。
例えば、普段から公園として使えて、市民に親しんでもらえる(避難する際の心的障害が少なくなる)。
例えば、津波で流されてきた船や人が、山の斜面に打ち上げられて助かる。
そんなこんなで「命山」を提唱してきた訳やけど、どうやらその建設にはかなりの費用がかかるということで、山ではなくてこういう形状になりました。
スポーツセンターヵらの避難も想定している、ということ。大きな階段が南西向いてしつらえられている、というのは、いいね。「命山」の機能を残した避難タワー。よく考えました。
これで南国市の避難タワーは15基目。この完成により、南国市沿岸の住民は、避難開始から概ね5分以内で避難タワーや高台に避難できるようになった、ということ。南海地震に間に合って、良かった良かった。
この避難タワーがつくられたのは、地理院地図で見ると、ここ。この十字の場所。これに、地形分類図と陰影起伏図を重ね合わせると、こう。近年の最悪想定では、津波は、この南の標高10m程度の浜堤を越えて襲ってくる可能性があります。ここに命山に代わるものができたことは、嬉しいですね。
南国市の避難タワーの良いところは、幾度も書いてきたけど、普段から開放されている、というところ。この大きな、そして大階段がある避難タワーも、いつでも誰でも上れるようになるんだと思います。そして、素敵な風景を見晴らし、楽しむことが、できる。
そうやって常日頃から慣れ親しんでおくことが、いざという時の冷静にして迅速な行動につながると思うので、なかなかいいことだと、思います。
今朝夜明け前に撮影してきた避難タワーは、まだ、こんな感じでコーンが置かれてたけど、恐らくはこれが撤去され、いつでも上れる避難タワーになるんだと思う。そう、期待してます。
今から2000年~2050年ほど前。
宝永南海地震を超える規模の地震と大津波が、土佐沿岸を襲ったといいます。その津波は、この界隈に広がっていた弥生集落に壊滅的打撃を与えたでしょうか。大地震の後、大津波が襲うという知識は、住民には語り継がれていただろうか。文字記録がない時代。ひょっとしたら、そういう記録も記憶もなく、逃げる暇もなく津波に襲われたとしたら、かなりの悲劇があったものと、思われます。
今は、いろんな情報があり、そして避難タワーが、ある。普段はこの素敵な施設を精一杯活用し、そしていざとなったら避難タワー。もちろん被害をゼロにすることは不可能やけど、こうやって、人類は大自然の脅威と折り合いをつけてきた訳で、人類にできることは、折り合いをつける知恵と技術を進歩させることだなどと考える、日曜の朝。