公共工事と民間工事と発掘調査と〔7008〕2022/06/23
2022年6月23日(木)晴れ
梅雨の晴れ間。真夏のような朝になりました。まだまだ梅雨は続くけど、こういうお天気は心地エイねー。なんか、爽やかな朝になりました。真夏と違うのは、クマゼミの声が聞こえんくらいでしょうか。ギラギラと夏のお日様が朝から輝いてます。
ここは南国市田村。空港滑走路北端の、少し北。ここで、民間の業者さんが地面を掘っているのに出くわしたので、撮影してきました。砂利採取でしょうか。物部川の自然堤防上なので、掘り返すと丸い川石が出てきます。こんな感じで。
地理院地図の治水地形分類図で見ると、こう。物部川の旧流路に挟まれた微高地。この南側で、滑走路の拡張工事の際に発掘調査が行われ、夥しい竪穴式住居跡が出現したのはご承知の通り。弥生時代初期から末期までの数百年間、ここには南四国最大級の存在したと言われています。なので。
恐らくは、この工事現場でも、調査すれば竪穴式住居跡とか土器片とか、いろいろ出てきそうやけど、民間工事の場合は調査対象外なので、普通に工事が進んでます。まあ、当然っちゃあ当然。
それにしてもこの場所。どう見ても、弥生集落の一部であったであろう場所やね。思わず、この写真の穴の壁面を拡大して見てみたりしました。何もわからんかったけど。
近年、高知でも、古代の官道の状況がわかったり郡衙の姿が見えてきたり、といった発掘調査の成果がありました。すべて、道路工事に伴う発掘調査。なので、調査が終了すると、この南の滑走路のように埋められてしまいます。場合によっては工事で跡形もなくなって。
高知では、大きな道路工事がたくさんあって、それによってたくさんの考古学的発見がありました。こんなのとかこんなのとかこんなのとかこんなのとか。
しかし、全部、既に埋められてしまったか、これから埋められてしまうかの運命にあります。
素晴らしい発掘成果、というのは、ほとんどが、そのような公共工事に際しての調査で明らかになるもの。それは、一面、夥しい遺物、遺跡のほんの一部でしかない、ということでもある訳で、圧倒的多数の遺跡は民地の下に埋まっており、民間工事で人知れず葬られていったりするケースが圧倒的であったりする訳で、ひょっとしたらビックリするような遺跡が民間の土地に埋まっているかも知れんのに、なんか、もったいない気がしたりする訳です。
こないだ須崎であったような、民間の方が、民地を買い取って発掘してみる、みたいなケースは、本当に稀で貴重なケースだと思うよね。
遺跡や遺物の大切さへの理解は、高度成長期などに比したら、比べ物にならないくらい進んできました。まだあの頃の感覚を引きずっている人も居るけどね。でも、この世の中の流れの中で、重要な遺跡の可能性がある民地を、公的機関が買い取ったり借り上げたりして調査する日が来るんではないか、などと、この工事の穴を見ながら妄想したりする、夏の朝。
今、考えているのは、気候、災害と歴史の関係。この、南四国最大級の弥生集落が、弥生の終焉とともに急激に姿を消す。そして南四国の中心地は、もっと北へと移動していった。その理由には様々あったでしょうが、そこに気候変動の要因はなかったのか。そんなのを、この界隈で発掘して調べてみたら楽しそう、などと妄想したりする訳です。どうでもいいですか?
まあ、それはそれとして、まずは目の前。張り切って仕事を始めよう。今日も暑くなりそうだ。