静かな未明の五台山〔6907〕2022/03/14
2022年3月14日(月)曇り
午前3時過ぎ。出勤途中の夜空に浮かび上がる、五台山。雨が降って、少し靄が立ち込める朝。こっから撮影していて、山の向こう側が明るい五台山。
五台山には、31番札所でもある名刹竹林寺さんが鎮座ましまし、美しい伽藍や庭が広がっています。そして、高知県立牧野植物園。昭和33年に開園した牧野植物園は、高知の誇る素晴らしい施設。
そもそも五台山は、かなり信仰の色合いが濃い、山。五台山という名称も、行基上人が、中国の五台山に形状が似ていることから名付けた、という伝説があるくらいで、仏教色の濃い山であります。標高146m。どこが頂上か、というと、ほとんど知られてないですね。一番高いところはここで、鬱蒼とした林の中。でもチャートが露出してて、たぶんそのチャートも、古くは信仰の対象だったんではないだろうか。
五台山麓には、夢窓疎石開基の吸江寺も鎮座し、浦戸湾を見晴るかす明媚な風光と相俟って、古くから貴賎を問わず、大切にされてきました。
山中をたつくると、夥しいお墓。高知の城下の里山として、お墓を作る場所として利用されてきたのは、筆山と同じ。
そして、牧野植物園。
高知県立牧野植物園は、牧野富太郎博士逝去の翌年、昭和33年に、牧野富太郎先生の業績を讃える意味合いもあって、五台山につくられました。五台山という場所は、牧野博士が生前から希望していた立地だそう。それは、五台山の自然と地形が、博士の考える植物園の立地に適していたから、だと思います。高知市中心部からしゅっと、という立地から、牧野博士が「植物園」というものにどういう機能、役割を持たせようとしていたのかが、想像できると思うんですね。
博士は、単に植物を愛した真摯な科学者、という訳ではありません。その人生を眺めると、成功への意志がかなり強い、そしてプロデュース力に長けた人物だったこと、わかってきます。時には周囲を振り回すほどの、前へ進む馬力。そのプロデュース力が五台山という立地を選んだのだとすれば、現在の素晴らしい牧野植物園の姿は、博士の先見の明、思惑通り、なのかも知れない。
来年の朝ドラに向けて、盛り上がるであろう牧野植物園。
高知を訪れた方には、ぜひとも足を向けてほしい、牧野植物園。来年までにはコロナも収束し、ウクライナ紛争も終息していることを願うばかり。
静かな静かな未明の五台山。