腕時計は同級生〔6829〕2021/12/26
2021年12月26日(日)晴れ
ちょっとだけ、寒いね。
年の瀬。今朝も会社へ来てます。こっから生乳が余らんように、みんな頑張る。みんな、頑張る。ご苦労様です。
今年もいろんなこと、ありました。知らんかったこと、知ったりしました。その中の一つに、機械式腕時計のことがあります。僕は、腕時計にはまったく興味がなくて、最近は腕時計を腕に巻いたことすら、ありませんでした。クォーツ時計が世に出てから、安価で正確な腕時計が広まったので、もうすっかりコモディティ化して、機械式腕時計なんてーものは、一部のマニアやお金持ち以外が使用することなんて無いと思ってたました。時間見るのはスマホで充分やし、どこにでも時計はあるし。
そんな僕が今年の夏に読んだのが、かの知識人にして趣味人にして雑学の束、山田五郎氏が書いた「機械式時計大全」。幾度も書いたけど、1969年にセイコーがクォーツ時計を発売してから、スイスの時計産業は壊滅的打撃を受け、腕時計は正確になり、安価になり、それまでの価値観がひっくり返ったのでした。倒産廃業が相次ぎ、スイスで時計産業に関わる人数は、三分の一に減ったと言います。しかしそこから、逆襲が始まる。機械式腕時計は、その、「機械であること」の価値を最大限にアピールし、ブランド力を高め、あっという間に復活を遂げて、スイスの高級時計メーカーはセイコーやシチズンよりもはるかに高いブランド力を築き上げていったという歴史。
ものの「価値」って何なのか、を考えさえられる、そんな読書でした。これは僕らの商売でも活用できる考え方であり、大きなヒントを与えてくれたのでした。
だから高級時計を買いましょう、とはならんのは、仕方ないところ。いや、別に有名ブランドの高級時計を買いたい訳ではありません。負け惜しみみたいですか?
そうではなくて、いろいろ調べるうちに、いろんな楽しみ方があることがわかったのであります。機械式時計を身に着けるにしても、いろんな楽しみ方がある、と。
この写真の腕時計。ヤフオクで見つけました。僕の落札価格は、4800円也。直径32mmは、今の時計に比べるとかなり小振り。やけど、とてもカッコいい。腕に着けると、見入ってしまいます。シチズンのCマークがいいねー。
なんでこの、少し文字盤が汚れてるような腕時計を落札したのか。それは、裏蓋に刻まれた数字から、この時計が1961年4月に製造されたもの、ということがわかったからなのです。そう。僕と同い年の、還暦時計。同じ年、同じ月に生まれた、手巻きの腕時計、ということで、必死になって慣れないヤフオクで落札しました。ヤフオクの写真では、もっと薄汚れていたのですが、実物はかなり満足のいくもの。それをですね、磨きました。8000番の紙やすりとピカールで。以前、蛇紋岩を磨くときに買ってたものね。それで磨くとピカピカ光り始めたではありませんか。還暦やのに。
もちろん60年も経ってるので、汚れがあったり、1日に1分以上ズレたりするのは仕方ない。それもまた、可愛いよね。人間でも還暦になると、あちこちガタがきますきんね。可愛くはないけど。
この、機械式腕時計は、独特の素朴な存在感で、僕の腕に乗っかります。磨き直したり、調整したり、油差したりしながら、大切にしていきたいと思いました。還暦の人体も、磨き直したり、調整したり、油差したりしながら使っていかんといかんしね。
今年も、たくさんの知らなかったこと、知りました。この時計のように、まだまだ頑張らんといけません。