中天高く、冬の星空〔6768〕2021/10/26
2021年10月26日(火)晴れ!
昨日は、なんか、冷たい雨。暖房入れた方も多かったんではないかと思われるような肌寒さ。こないだまで30℃がどうした、などと言うてたのに、季節は秋を通り越して一気に冬へ、みたいな感じ。いや。それでは困る。キンモクセイも咲いてくれなくちゃ。驚くことに、まだ咲いてないけど。
で、冬の星座は、夜明け前には中天高く。そう。夜明け前の中天は、もう、真冬。
久々に、星空を撮影してみました。鏡川大橋北詰の、中天の、空。冬の大三角形であるシリウス、ベテルギウス、プロキオンに、オリオン座。写真には写ってないけど、この横には双子座のカストル、ポルックス。ぎょしゃ座の五角形にカペラも見えるし、牡牛座のアルデバランもね。豪華キャストの勢揃い、という感じ。そして月齢19のお月様。すごいね、まったく。ゆっくり、一人で静かに星空を見上げることって、ありますか?
で、こないだから少し触れてきた、高級機械式腕時計には、あの小さな腕時計の表面に、そういった星空とかを表示させる機能を持ったものがあったりします。そう。現在日時の夜空を正確に表示させるという複雑機構で、そんな腕時計はとんでもない値段がしたりしますね。この、ジャガー・ルクルトの今年の新作は135万ユーロだから、1億7800万円だって。なんだそりゃ。
とんでもない値段ではなくて、そういった夜空のロマンを感じることができる機能に「ムーンフェイズ」というのが、あります。月相。お月様の絵の一部を機械的に隠すことで、その日の月の姿を表示する、というもの。昔、街灯りというものが無かった時代には、月がどんな大きさかは重要な問題だっただろうし、海に関係する人にとっては潮汐だ大事だったでありましょう。そういう理由があったとしても、現代では、その日の月相が表示できたからと言うて、それがどうした、という話。でも、機械式腕時計の世界では、まったく実用性からはかけ離れた「それがどうした」という機能が重要だったりするんですね。
上に、「とんでもない値段ではなくて」とは書いたけど、どのくらいが「とんでもない」のかの価値観によって「とんでもない」のか「とんでもなくない」のかが左右される訳で、実用性と価値観とは人それぞれ、ということを改めて教えてくれるのが、時計の世界だったりする訳ですな。知らんけど。
通常の高級時計のムーンフェイズは、新月から次の新月までの周期を29.5日で計算してるんだそう。それだと、1年間で9時間、2年7ヶ月ちょっとで1日のズレが生じるので、それを修正する必要があります。そういうムーンフェイズの機械式腕時計は、数十万円からあります。
が、122年に一度の修正でかまわない高精度のムーンフェイズを備えたものがありますね。こんなので、価格は500万円超え。
更に、同じランゲ&ゾーネといういわゆる「雲上ブランド」の「1815ムーンフェイズ」という腕時計は1058年で1日の誤差。それがどうした、という年数。別に手で修正したっていいではないか、と思うけど、その精度を達成する超複雑機構搭載ということで、価値があるんですな。お値段は、もう、知りません。
1058年に1回の調整で良いのが実用性なのかどうなのか知らんけど、そういったところに価値を見出す世界がある、ということは、なんとなくわかるようになりました。買わんけど。
ただ、コンピューターとかを使わずに機械式の機構だけで、小さな小さな腕時計の中に、そういう宇宙を再現している、というのは、やはりすごい。クォーツが登場して壊滅的打撃を受けた機械式時計産業は、こういう価値観を追求することで、復活を遂げたのでした。