放散虫革命!〔6660〕2021/07/10
2021年7月10日(土)薄曇り
感動しました。
感動の瞬間まで、今日、何があったのか、書いていきます。興味ないと思うけど。はい。地学の話です。
今朝は早朝に会社へ。資料整理やら打合せを済ませ、今日のお仕事は終了。高知市内へ帰ってから、自転車で西へ。ベージュの折りたたみ号で、どんどんと西へ走る。荒倉トンネルを抜け、春野の弘岡から、仁淀川を渡って土佐市へ。土佐市の、弊社の元社員さんが経営するコンビニ(僕らはシバイレブンと呼んでいる)で飲み物などを買って、南へ。塚地坂のトンネルを抜けると、宇佐だ。
こないだ読んだ、この本は、宇佐が舞台。野球が盛んな漁業の町、宇佐を抜け、宇佐大橋を渡って横浪半島。竜の浜の前を通って坂道を上がると、五色ノ浜という浜へと降りていく看板が。
そこに自転車を停めて、緑が鬱蒼とした階段を降りていくと、五色ノ浜。実は、こないだも行きました。今日の目的地は、前回行けなかった場所。放散虫層状巨大チャート。
まず、五色ノ浜という名前は、そこへ降りてみるとすぐにわかります。砂浜というよりは、石がゴロゴロした浜。その石は、赤やら緑やら。特に赤い石が目立つのであります。ああ。赤色チャートだ。
この場所は、「横浪メランジュ」という名前で、国の天然記念物にも指定されています。指定されるきっかけになったのは、昨日もちょっと書いた、高知大学の故鈴木堯士先生の研究。
メランジュは、洋菓子で使うメレンゲと同じ言葉。色んな時代の色んな地層が、グニグニっと凝縮されているメランジュ。この横浪メランジュと、ブラタモリでご紹介した西分のメランジュが、プレートテクトニクスを世界で初めて証明した地層である、という話は前にも書いたよね。覚えてたら、嬉しいけど、覚えてるのはかなりのマニアだ。
そんな横浪メランジュには、巨大なチャートの露頭がある、という話は、知ってました。鈴木先生の本で。でも前回は行けんかったので、今日は、なんとしても見てみたかったのでありました。
チャートは、ブラタモリでもタモリさんが「放散虫の死骸が堆積したもの」と説明してるので、ご存知の方も多いと思う。太平洋の遥か南で、放散虫の死骸が海底に堆積、プレートに乗って北上し、南海トラフに沈み込む際に陸上側のプレートにムリムリっとくっついて、この横浪で見事に露頭しているのであります。
高知大学の研究で、約1億3000万年前から1億1000万年前に堆積した放散虫とわかってます。堆積速度は、200年で1mm。200年で1mmっすよ。2000万年で100mだ。固い訳ですね。
今日、見たかったチャートの巨岩。この写真。五色ノ浜ヘ降りる階段からは、結構危険な岩場を歩いて約1時間。遠いし危ないけど、腰痛を我慢して、行ってみた甲斐がありました。この風景を見た瞬間、感動で、変な声が出てしまった。
すごい。
赤色チャートの巨岩。他の石も見事なバリエーション。
この巨大な放散虫層状チャートは、環太平洋地域に存在するチャートの中でも最大規模のもの、らしい。すごいぞ。鈴木先生は「放散虫革命とも呼ばれた舞台のひとつ」と書いてます。すごいぞ。放散虫革命。
元々水平に堆積したものが、ほぼ垂直に屹立。幅100m、高さ50mの岩体の迫力は、圧倒的だ。ここまで一人でたどり着くのは、結構大変。ルート間違うと、崖から落ちてしまいますもの。何度も言ったり帰ったりしながら、なんとか辿り着いた、僕にとっての夢の国。
いいものを見ました。
宇佐へ戻り、浦ノ内湾内を西へ、須崎まで走って、いつもの「そうだ山温泉」で風呂入ってから、このにっこり書いてます。ああ。至福の土曜日。いいもの、見ました。