書肆 織平庵〔6640〕2021/06/20
2021年6月18日(金)曇り
須崎に、斧山さんという人生の先輩が、おります。おのやまさん。御年69歳。初めて出会ったのは、僕が堀田さんと「高知街ラ・ラ・ラ音楽祭」を始めた頃。まだ手探り状態だったラララを、スタッフとして支えてくれた斧山さん。だから、もう、出会って20年近くになる訳だ。
当時はまだ、ギターを始めて間がなかったか、とにかくそんな感じだったと記憶します。音楽が大好きな気のいいおじさんで、須崎の印刷会社にお勤めでした。僕より9歳上なので、東京で大学生をやってた時代は学生運動真っ盛り。そこで、当人曰く、鬱屈した学生生活を送ったんだそう。音楽や本に囲まれて。
その頃の話とかは、以前、斧山さんがとても面白いブログにして綴ってたました。探してみたら、あった。ありました。これだ。「おじい川端の浅い人生」。久々に読んだけど、面白いっすよ、これ。
いい歳のおやじになってからギターを始め、須崎の音楽仲間とガッチョというバンドを結成して、憂歌団のコピーなどをいい味出して歌ってました。ソロの弾き語りでも、洋楽を独特の感性で訳詞したりして、素敵な雰囲気を醸し出している、斧山さん。
印刷会社から、須崎市民文化会館の企画担当に転職したのはいつ頃だったか。その仕事は天職のようで、生き生きと仕事してましたねー。その仕事も退職され、これからは悠々自適か、と思いきや。なんと69歳にして、本屋さんを始めてしまったのでした。すごい。すごいぞ、斧山さん。
僕は、迂闊にも、ご本人がFacebookでそのこと書くまで、知りませんでした。でもあの斧山さんの本屋さんですもの。僕が好きな本がたくさんあるに違いない。それはもう、間違いない。
その本屋さんは「書肆 織平庵」といいます。須崎市の川端シンボルロードにある、小さな小さな本屋さん。なかなか本屋さんだとは気付いてもらいにくいけど、店内は、なかなかよくできてます。入口近くは新刊コーナー。素敵な絵本やら、少しこだわった新刊書。そして店内へ入っていくと、古本。ジャンルは様々やけども、僕ら世代のツボだったり、します。奥の方には、斧山さんらしい音楽関連が多いけども、その手前に落語やら映画やらサブカルチャーやらが所狭しと並んだ棚。そこは「モモちゃん」コーナー。
斧山さんは、今、「クレージーー・ピーチ」というバンドをやっておられます。そのバンドのドラマーは、バンド名にもなっている「モモちゃん」。モモちゃんの蔵書が、その一角に古本として並べられてて、これはもう、ツボ中のツボなのであります。
そしてすごいのは、内装。全部、斧山さんの手作り。本棚も、自分で材料買って来て、じこじこ作ったものなんだって。すごい。なかなか素敵に仕上がってます。こないだ土曜日に行ったときは、BGMは細野晴臣でした。ああ。
織平庵のFacebookページは、これ。なんともまあ、商売っけがないこと。でも、ちゃんと、営業カレンダー、あります。これによると、斧山さん、結構休みも少なく頑張っておられます。昼はコーヒーとかも飲める「ブックカフェ」で、週末夜には「ブックバー」も、営業。
実は昨夜、汽車乗って、そのブックバーへ行ってきたのでした。須崎まで。だって斧山さんだもの。
静かに楽しい時間を過ごさせて頂きました。いろんな昔話したりして。コロナビール飲んで、スコッチ飲んで。
店内や斧山さんの写真は、Instagramでご覧頂けます。
「書肆 織平庵」
いい本屋さん。いい人生。