夏至と夫婦岩〔6641〕2021/06/21
2021年6月21日(月)晴れ!
夏至。いやー、夜明けが早うなってきたなー、と思っていたら、もう夏至。げし。早い早い。油断してると何もしてないうちに一年が過ぎてゆきますな。
そんな訳で、夏至。
夏至といえば、二見興玉神社の夏至祭が有名でしょうか。伊勢神宮に参拝する人が禊をする浜、ということやけど、海辺に屹立する夫婦岩の間から夏至のお日様が昇るのを拝むのが、夏至祭。その模様はYouTubeに上がってまして、こんな感じ。すごいね。
夫婦岩は、その沖700mに沈む「興玉神石」を拝む為の鳥居の役割を果たしている、とのことで、つまり元々の御神体は、その石、ということになります。かつては海に顔を出していた「興玉神石」は、地震で沈下して、今は水面下。
こないだも書いたけど、現在の有名な神社は、元を遡れば現地での巨石信仰に行き当たったりするというアレでしょうかね。知らんけど。
今は見えない「興玉神石」で、その代わりと言うてはなんですが、夫婦岩の向こうに昇る夏至の朝日が、信仰を集めているという訳だ。
YouTube見ると、たくさんの白装束の善男善女が参加してます。この禊修法のみ参加だと3,000円、二日間の全修法参加で5,000円なんだって。どうでもいい話ですが。今年はコロナで、神職のみによる行事が行われてる、らしい。こんなに良いお天気なので、ちょっと、もったいないね。毎年こんな良いお天気の夏至になる訳ではないと思うので。
伊勢神宮内宮の御祭神は、もちろん天照大神やけど、国家神道の中心として祀られる以前の信仰形態があったのは、間違いないようです。それを伝えるのが、正殿床下の「心の御柱」に対する儀礼である、と、中沢新一「アースダイバー神社編」に書いてます。伊勢神宮には、天皇の妹とか姪とかが「斎王」として送り込まれ、神事に携わっておりました。が、その「心の御柱」前で行われる神嘗祭、月次祭には斎王は参加せず、土地の豪族から選ばれた少女が「斎女」として参加し、深夜の床下の秘儀を「一人で」執り行うことが定められていた、とのこと。
これは古い神社によくある「陰陽和合」の神事であり、それが、伊勢神宮以前の信仰の姿を今に伝えるものである、という見解ね。
信仰の風景は、時と共に変化していく。源流の文脈をどこかに受け継ぎつつ。
夫婦岩といえば、明治の頃まで、桂浜には夫婦岩があった、という話をこないだ書きました。その夫婦岩が信仰の対象であったのかどうかはわかりませんが、その風景は、今はもう砂の下。
風景はどんどん変わるけど、夏至の太陽は、今も昔も変わらずに昇るのでした。写真は今朝、本社棟2階から撮影した夏至の日の出。三宝山の別名が金剛山だったこと、思い出した。