熊井隧道〔6545〕2021/03/17
2021年3月17日(水)晴れ
昨日は中村。現四万十市の中村支店で打ち合わせしてました。で、中村に泊まってたので、今朝は5時に起き出して本社まで帰ってきました。諸々仕事があるので。
写真は、帰る途中で撮影した熊井隧道。
旧中村街道煉瓦隧道三部作の最後を飾るのが、この熊井隧道でございます。
今は国道33号線になる、高知市から幡多へとつながる道は、かつては中村街道と呼ばれ、明治期に整備されました。そのとき掘られたレンガ造りのトンネルが、現在、3本残っています。それを、明治に掘られた煉瓦隧道三部作と呼んでみました。
まず、2月20日にご紹介したのが、大方と中村の境目に現存する「逢坂隧道」。トンネル内部も全部レンガ積みで、しかもイギリス積みの、なかなか凝ったつくり。今は、冬場でないとたどり着けない鬱蒼とした薮の奥に、静かにたたずむ「逢坂隧道」。でも、いい雰囲気が残ってます。
2月23日に自転車で行ってきたのが、須崎市と土佐市の境目にある「樫迫隧道」。近くに小さな集落があるので、現在も生活道として使われてる「樫迫隧道」には、獅子の頭の蛇口とか、なかなか凝ったオブジェがありました。明治の職人の心意気。
そして最後のご紹介するのが、ここ。土佐佐賀から、少し窪川の方へと上がっていき、佐賀と伊与木の境目の山を貫いてるのが、「熊井隧道」。地図見ると、わざわざトンネル掘らんでも、伊与木川沿いルートを通ればいいのにと思うけど、大人の事情があったのでしょう。たぶん、熊井の集落とかを通したかったんでしょうね。知らんけど。そしてその隧道は、今も遍路道として使われてて、車も通れます。本来は通れますのですが、実は今、道路の工事やってて、通れんなってます。佐賀側からは完全に通行止めで、今朝は熊井側から行きました。そっちも工事してるけど、早朝なので行けました。
素敵な隧道。この隧道には説明板がちゃんとありますね。転記しておきましょう。
明治38年(1905年)12月に工事が完成し、長さ90メートルあり「トンネルというものは入口は大きいが出口は小さいものぢゃのう」と言った人があるという。レンガは佐賀港かた1個1銭の運び賃で小学生などが1~2個づつ運び、熊井側入口の石張は、2人の職人が右と左にわかれ腕前を競ったと言われる。昭和14年(1939年)までは県道として利用され、現在はわずか土地の人の通行に利用されているのみである。近代土木遺産に指定されています。
以上、転記。なんと説明板の下部には英語、中国語(簡体)、中国語(繁体)、ハングルでも書かれてました。すごい。国際的遺産だ。
で、肝心のレンガ積み。トンネル内部は、樫迫隧道と同じく、砂岩壁面で、アーチ部分がレンガ。砂岩は布積みやね。アーチのレンガは長手積み。
しかしご覧のように、トンネルの入り口部分のレンガ壁面は美しいイギリス積みだ。これもレンガ職人の心意気やね。
旧中村街道三部作は、それぞれ、職人さんの心意気や想いが込められてて、素敵でした。100年以上の歳月を経ても、その強度と美しさは、衰えていないのが、すごい。
僕らも、そんな仕事、したいものです。