石談義〔6542〕2021/03/14
2021年3月14日(日)晴れ
良いお天気の日曜日。そろそろ、あちこちで桜が咲き始め、田植えの準備も始まった高知県地方。良い日曜日になりそうです。
一昨日、安岡酒店のご主人様の骨折りで、石に詳しい方々と、一緒に石談義をしながら飲む機会を与えて頂きました。お一人は、採石関係のお仕事をされているMさん。そしてもうお一人が、県庁職員のNさん。お二人とも、石の世界へは趣味で入られたんだそう。Nさんは、少年の頃から石が好きで、あちこちで石を探しては楽しむという生活を半世紀、営んでこられているそうです。筋金入りとはこのことだ。僕らみたいなニワカなんちゃって石マニアとは、全然違う。
でもNさん、県庁でそんなお仕事をされてるのかというと、全然違います。石は、完全に趣味。趣味やけど、いや、趣味だからこそでしょうか、その熱の入れようと知識のすごさに感服つかまつりました。
もちろんMさんも、詳しい詳しい。そして、熱く熱く石について語るお二人に、僕もついつい引き込まれてしまったのでした。
せっかくなので、ということでお二人とも石を持ってきてました。
Mさんが持ってきてたのは、北海道、アポイ岳のカンラン岩。地球ってのは、地殻、マントル、核でできてる訳やけど、そのマントルを形成してるのがカンラン岩。緑色。だから、地球をパカっと割ったら、かなりの部分が緑色なんですが、そのカンラン岩が地上に露出してるのが、アポイ岳なのでした。
通常、カンラン岩が地上へ上がってくる場合、水と反応して蛇紋岩になったりするので、純粋のカンラン岩として地表までくるのは、とても珍しいこと。北海道、アポイ岳は、そんな、世界でも珍しいカンラン岩でできた山なのでした。
Nさんが持ってきてたのは、輝安鉱。アンチモンを含む硫化鉱物で、かつて、愛媛県西条市の市之川鉱山で掘られる輝安鉱が有名だったそう。今は閉山してますが。西条市のHPにもあるように、市之川鉱山で産出される輝安鉱は、とても品質が良くて重宝されたそう。日本刀のような輝きをもつ結晶もあったそうやけど、とんでもなく貴重で美しいものは、ほとんどが海外に流出してると言いますねー。
Nさん、その貴重な輝安鉱をお土産にくれました。ありがとうございます。わかりますよね。この、ピカピカ光ってるのが輝安鉱。アンチモナイト。
向こうに置いてる蛇紋岩とともに、僕の机の上を彩る石になりました。
鳥形山や横倉山の話、三原村の硯石の話、土佐桜の話など、地質図を見ながらの石談義は、とても面白くて時間が経つのを忘れてしまいました。
Mさんは、三原村の硯石の原石も持ってきてました。基本泥岩やけど、それにどんな鉱物がどのように含まれるか、そしてそれがどんな大きさでどんな形状なのか、で、良い硯石になるかどうか決まるそう。拡大した地質図で、話が膨ら膨らむ。
Nさんが高知市北部で偶然みつけた翡翠の話も、すごい。翡翠っすよ、翡翠。薄緑の大きな石で、写真、見せて頂きました。川を歩いてて見つけたそう。これが翡翠だ、と気付くマニア度が半端ではない。見つけた時、大学の先生に「翡翠みつけた」と言うと、「それは間違いやろう」と言われたけど、分析してもらったら間違いなく翡翠だったそう。
いやー、また、石談義したい。
詳しい人と、マニアな話をするほど楽しいことは、ない。
思ったけど、県庁には、カレーの大家の畜産技術者や、石の大家の危機管理担当者がおるんですね。高知県庁、すごいぞ。