橋が、ない〔6538〕2021/03/10
2021年3月10日(水)晴れ
昨日、県境から阿波池田、そしてできたばかりの猪ノ鼻道路を通って香川方面へと行ってました。途中、JR土讃線祖谷口駅の前。吉野川に架かる素敵な橋「大川橋」の取り壊し工事が行われてて、ビックリ。そう。「セピア色の吉野川」でも、1958年、1978年、2000年、2008年、2009年と写真が紹介されてた、重要な橋。
この本によると、土讃線が開通して祖谷口駅ができた昭和10年、つまり1935年、対岸三縄村の赤川庄八さんが私財を投じて架けた、橋。なんでも、土讃線開通に際し、地元の村々が、祖谷口駅開設を陳情。鉄道省は、駅設置の条件として、ここに橋が架かることをあげる。そこで立ち上がったのが、地元の素封家、赤川庄八翁だった訳です。その、地元の想いと赤川翁の熱意が込められた橋も、架橋86年年目にして、取り壊されてました。
1958年当時は「賃取り橋」でした。私橋ですきんね。維持費もかかったろうし。大人2円、小人1円、自転車3円、オートバイ、リヤカー、牛馬が5円。
1978年になると、橋は池田町に寄付され、無料になってます。近くに新しい大きな橋ができましたきんね。しかし変わらない大川橋の風景。
2000年になると、橋の板の向きが横から縦に変わっただけで、やはり変わらない大川橋の風景。
「セピア色の吉野川」で紹介されてた、そんな風景。
このにっこりでも、2012年11月に、ご紹介してます。「セピア色の吉野川」の写真と同じ姿の、大川橋。補修用の板が立て掛けられて、現役感満載の風景でした。
ところが。
2019年に行ってみると、既に通行止め。渡ることはできんなっていてビックリ。強度の問題なんでしょうね。それでも、あの美しい橋は、この旧吉野川橋のように残されるものと思い込んでた浅はかさ。
昨日、その大川橋が取り壊される現場に突然遭遇したのでした。工期は令和2年9月17日~令和3年3月26日と書いてます。既に吊りロープも、橋も、ない。橋脚だけが、寂しく立ってました。せめてこの橋脚だけでも残して欲しいけど、どうなんでしょうか。工期が3月26日までで、この状態なので、期待できそうではあります。昨日の写真をPCに表示して、1958年の橋の風景と並べて撮影してみました。
人々の生活が変わり、風景も変わってゆく。