測候所と気象通報と浦塩〔6474〕2021/01/05
2021年1月5日(火)薄曇り
ここは今朝未明の稲荷新地。この十字の場所、最近できた南海地震対策巨大防潮堤の上から、東の方向を撮影しました。この左手。こないだ、描かれた絵馬をご紹介したように、明治15年から明治21年の短い間、高知測候所の洒落た洋館三階建てが、存在したのであります。昨年、図書館で調べてみたけど、その洋館のことが書かれた文献は「月刊土佐」以外で見つけること、できんかった。正確には、いったいどこにあったのか。この左手のどこかの一角にあったのは、間違いないですが。
想像してみよう。ここに洒落た洋館の測候所があった風景を。Imagine all the people♪
測候所で思い出すのは気象通報。NHKラジオ第2放送で、午後4時くらいからやってるやつね。「気象庁発表の今日正午の気象通報をお伝えします」で始まる放送。営業で外回りしてた頃、車のラジオで気象通報を流しながら運転してたこと、思い出します。なんか、好きでした。
各地の天気、気温や気圧、風速などを淡々と無機質に伝えていく放送。でも、太平洋の島とかロシアとか中国とかの都市名が出てきたりするので、なんとなく世界を廻ってるみたいな想像をして、楽しんでたんでしょうかね。知らんけど。
高校時代、「気象部」という部活があり、気象通報を一生懸命天気図に記入してた同級生が居りました。いや、何が楽しいんだろう、と思ってた(失礼!)けど、今になって、彼らの気持ちがわかるような気がします。
気象通報では、「浦塩では」というのが印象的でした。そう。ロシア(当時はソ連か?)のウラジオストクのことを「浦塩」と呼んでました。「浦塩」という名称は、明治以降、ウラジオストクを「浦塩斯徳」と表記したのが「浦塩」と表記されるようになり、戦前には普通に「浦塩」と呼ぶようになってたのの名残でしょうか。港町、というイメージにピッタリの漢字表記だし。
でもウラジオストクの意味は、全然違います。「ウラジ」は領有するみたいな意味で、「オストク」は「ヴォストーク」で、東方の、という意味。東方を支配する、てな意味の都市名なのだ。ガガーリンが乗ったヴォストーク1号のヴォストークと、ウラジオストクの「オストク」は、同じ「東方の」という意味なのでした。
夢野久作の「氷の涯」という魅力的な小説に「浦塩」が出てきた気がします。気のせいかも知れません。たぶん気のせい。このラストシーン、大好き。
気象通報の話でした。調べてみると、現在では、「浦塩では」ではなくて「ウラジオストクでは」と放送してるらしい。ちょっと、残念。
いや、高知測候所の話でした。
明治初期の6年間だけ、三階建ての洋館が、存在しました。この左手のヴォストークに。