トンネルと鉄道〔6467〕2020/12/29
2020年12月29日(火)晴れ
粛々と充填機入れ替え工事は進む年の瀬。こんな時期に、作業関係者の皆さん、本当にご苦労様です。
もう今年も残すところ、今日と明日と明後日だけ。ああ。年齢を重ねると、時の流れを速く感じるのは、生物学的にというか物理学的にというか、とにかく科学的に説明ができるそうなので、抗いようもないのでありますな。ああ。
この年の瀬のご挨拶の定番は、「今年は大変な年やったねー」「いつまで続くろうかねー」。とにかくコロナのせいで、特別な一年になりました。去年の今頃は想像もしてなかった、今年の地球。
で、今年。いっぱい本も読んだけど、今年特に力が入ってたのが、石積み、レンガ積みと、トンネルの話でした。レンガ積みについては、かなり造詣が深くなってしまい、古いレンガ積みを見ると、その積み方が気になって気になって仕方がないカラダになってしまった一年でした。
あと、トンネル。
これは、高知新聞の「常夜灯」というコーナーに、元京大総長で僕の高校の大先輩、尾池先生が「トンネルと水と地震と」という文章を書いておられたのをきっかけに、ハマりました。
地質学とトンネル工事。
今まであまり気にしてなかった世界。知らなかった世界が、そこにあったのです。地質、地盤とトンネル。土讃線の廃トンネル探検できたのも、今年でした。
そして衝撃を受けたのが、尾池先生も紹介していた「闇を裂く道」っすね。丹那トンネルのとてつもない難工事が、地域にどのような影響、変化をもたらしたか。豊かな水に恵まれた盆地が、あっという間に不毛の大地に変わり果ててゆく風景。そして尾池先生は、昭和の丹那地震は、あのトンネル工事がきっかけになった可能性は否定できない、と書いてました。
この、中央リニアの工事が大井川の水問題で紛糾するタイミングで、尾池先生がわざわざこんな文章を書いた意味は、大きいと思う。
「闇を裂く道」は、今の時代の必読図書だと思いました。
同じ、昭和の始め頃、当時としては日本最長の清水トンネルが掘られました。群馬県から、谷川岳の下を撮って越後湯沢へとつながる上越線のトンネル。これは、それまでの東京新潟間の距離を100km短縮するもので、時間にして4時間短縮。すごい効果のトンネルやね。
そのトンネルが開通したのは昭和6年月1日やけど、貫通は昭和4年12月29日。91年前の、今日。谷川岳の下は閃緑岩とかの硬い地盤で、破砕帯とかもなくって、割合に順調に工事ができたトンネルだったようです。長いけど。同じ北陸でも「動く大地の鉄道トンネル」で書かれてた鍋立山トンネルとはエラい違い。
清水トンネルは昭和6年開通で、昭和9年~12年頃の越後湯沢を舞台にした川端康成の「雪国」冒頭に出てくるトンネルは、清水トンネル。いわゆる「国境の長いトンネル」ね。抜けたらそこは雪国だった、という、トンネル。
そのトンネルを走る汽車は、なんとなく蒸気機関車というイメージがありました。ところがなんとなんと電車だったのだ。そもそもそんなに長いトンネルを蒸気機関車で走ると運転手が窒息してしまう、ということで、最初っから電車が走るトンネルだったんだそう。
だから、上越線でロケをやった映画でも、走ってるのは電車。昭和31年頃の上越線でロケしてて、当時の電車が走ってます。それはそれで鉄っちゃんにとっては貴重な映像が見られるようですね。
いやね。鉄っちゃんてのは、映画のストーリーとかそっちのけで、使用されてる車両とかに異様な興味を示す人種でして、映画のクライマックスで、せっかく岸惠子が雪にもぶれながら熱演してるのに、そこに写ってる車両のことばかり熱く語ってるのに笑ってしまいますな。
鉄道といえば、今年は50年前の交通公社の時刻表も手に入れたことでしたねー。
そんなこんなで、コロナ騒動の中やけど、いろんなことがあった一年でした。あと、3日。大晦日まで、仕事仕事。張り切って仕事仕事。