動いていない充填室〔6466〕2020/12/28
2020年12月28日(月)小雨
暖かい朝。雨ですきんね。
今日は、工場、生乳の受け入れ以外、ほとんど動いてません。弊社の工場としては特別に珍しいことで、今年の元旦以来でしょうか。元旦以外でこうなるのは、ちょっと、記憶にないくらい。
停めてる理由は、充填機を入れ替えてるからです。こないだ少し書いたけど、200ml紙パックの充填機を入れ替えて、年明けにお店に並ぶ商品から、脱プラスチックのストローレス対応紙パックに変更するのであります。昨日の朝から、今までの充填機やコンベアラインなどを取り外して撤去し、今日、新しい充填機やコンベアラインなどを取り付けます。作業関係者のみなさま、ご苦労様です。
明日は、200ml紙パック以外の機械は動かしますので、全部停まっているのは、今日だけ。非常に珍しい雰囲気が、この工場に漂っております。
近年、お正月にお店を営業しない動きが広がってます。
僕が働き始めた頃は、営業しないの、当たり前でしたが。
その後、この国では、なにかに憑かれたようにサービス合戦が繰り広げられて、お正月にお店が営業するようになり、元旦からも当たり前になっていました。元旦からお店が開くと、それに合わせて牛乳工場も稼働するようになり、いつの間にか、大晦日も元旦も、通常と同じように工場が動くようになってきたのでした。
でも。
それでは従業員の皆さんにも負担がかかる、ということで、弊社でも、今年の正月から、元旦もできるだけ工場を止めるようにしました。
そしてこのお正月も、そうします。お正月ですきんね。牛さんは休まないので、全部止めることはできんけど、それは牛乳工場の、宿命。
写真は、今朝の、暗い、稼働していない充填室。向こうの明るい部屋は研究本部で、入荷してくる生乳の検査をしています。牛さんは休まないので。
昔の話をしましょうか。
僕が入社して工場で製造担当をやってた頃。もう、30数年前の話。お正月はお店も全部閉まるので、年末のスーパーは大忙し。弊社の営業も、大晦日まで追加商品の配達や、お店の手伝いで大忙し。工場も、大晦日のお昼くらいまでは追加対応などでバタバタでした。
しかし大晦日も、お昼過ぎると突然静かになります。そして、日が暮れる頃になると、工場で動いてるのは余乳処理をする為の粉乳施設だけ。生乳をパウダーにする施設です。
お正月、工場を止めるので、貯乳タンクに生乳が入りきれなくなるので、余った乳を粉乳にしていたんですね。だから、粉乳係が、大晦日の夜まで仕事しておりました。紅白が佳境になる時間まで。
明けて元旦。
牛さんは休まないので、朝から、2斗缶やタンクに生乳を入れた酪農家さんのトラックがやってくる。集乳所に集められた2斗缶や1斗缶を満載したトラックが入ってくる。
元旦当番の受入れ係が、サンプルを採取し、元旦当番の検査係に検査してもらって、計量してからクラリファイアーを通して生乳を貯乳タンクへ。
粉乳係も、朝から出てきて、フル稼働で余乳を粉乳にしていく。
9時過ぎになると、朝の搾乳が終わった酪農家さんたちが工場敷地内のスペースに集まり始め、火を囲んでの、酒盛りが始まるのでした。お正月ですきんね。
それが、その頃の元旦の、毎年の風景でした。元旦の風物詩。
現在の工場の航空写真はこれで、当時はこんな感じ。この辺りで、正月の酪農家さんの酒盛り、やってましたっけ。
元旦にスーパーが営業するようになって、あの、静かで長閑だった日本のお正月風景も、なくなってしまいました。
あれから後、それこそ憑かれたようなサービス合戦が限界を迎え、また、これからニッポンの新しいお正月の在りようが生まれてくるんでしょうか。
停まっている工場は、そんなことやあんなこと、考えさせてくれます。