金星と生命〔6364〕2020/09/17
2020年9月17日(木)曇り
今晩は新月。どちらにしても、空には雲が立ち込めて、空は見えません。少し気温も、高め。
空は曇ってますが、本社棟2階から見た夜明け前の雲の向こう、東の空には、見慣れた星空が見えているはず。金星、冬の大三角、シリウス、ポルックス、ベテルギウス、双子座のカストル、ポルックス。賑やかな冬の星座たち。
オリオン座のベテルギウスは元来とても明るい星なんですが、このコロナ騒動になる直前の冬、急激に暗くなってました。ひょっとしたら超新星爆発の前兆か、などと期待を抱かせたけど、その後コロナの流行とともに明るさを取り戻し、なーんだ、という感じで、地球の超新星爆発マニアをガッカリさせたのは記憶に新しいところ。ところがまた、最近になって急に暗くなったりして、宇宙の不思議を体現させている、ベテルギウス。
ベテルギウスの明るさと新型コロナに関連がある、などと言うてる人が居たら、それは虚言の類なので、信用してはいけません。
信用していいかどうか、と言えば金星の生命。
一昨日の新聞に、金星の大気から生命の痕跡かも知れない物質が検出された、という記事が載ってました。金星に生命が?というなかなかセンセーショナルなニュース。
英国の科学誌「ネイチャー・アストロノミー」に掲載された論文によると、地球上では生命しか生成できない「ホスフィン」というガスが、金星の大気から見つかった、ということ。このチームはイギリス、アメリカなどのチームで、京産大も参加してるんだって。
もちろんこの発見が、そのまま生命の存在を証拠づけるものではないけど、世界中でかなりの人たちが興奮しているニュースであるのは、間違いないっすね。
僕は、あり得る話だと思ってます。
金星の環境って、このにっこりで幾度も幾度も書いてきたように、地球に暮らす我々人類にとってはとんでもなく過酷で凄まじいもの。地表の温度は470℃、気圧は95気圧。僕らの感覚では、生命なんかとても住めそうも、ない。ロシアの660kgの重量がある探査機が、地上50kmから自由落下で着陸できたという事実が、この気圧の凄まじさを物語る。
ちなみにその地上50km地点では、気圧は1気圧、75℃なんだそう。地上60kmでは30℃くらいで、生命存在の可能性は指摘されてたと言います。僕は、その生命のありようによっては、金星の地表でも「生命」が存在する可能性はあると思ってますけども。
そもそも「生命」ってなに?という命題を考えざるを得ないところに、僕らは、遂に行き当たってしまったのかも知れません。
地球上の「生命」は、複雑極まりない「複製」システムを持ち、細胞がある。でも、もし地球の生命と違う起源の「生命」が居るとすれば、それは僕らのように複雑なDNAを持った「リボゾームをコードする生命体」ではあり得ない。僕らとは全然違う複製システムを獲得した「生命」だと思う。自己を複製するシステムを持つものを「生命」と定義するのであればね。
もし、金星に地球上の生命と同じ仕組みの「リボゾームをコードする生命体」が居たとすれば、それは、地球の生命と起源を同じくするとしか考えられないよね。そんな複雑な事象がこんな近い場所で二度起こったとは、考えられんから。それはそれですごいことで、どうやって生命体は宇宙空間を移動したのか、考える楽しみが増えることに、なります。
今、新型コロナがこれからどうなるのか、注目されてます。
金星で生命?のニュースを見て、改めて「生命」とは何かを考え、そしてウィルスの存在の意味に思いを馳せる。
今一度、この「ウィルスの意味論」読んでみることにしました。すごい本です。
僕らは「リボゾームをコードする生命体」で、今回人類にとって大問題になっているウィルスなどの輩は「カプシドをコードする生命体」である。と、いう考え方。
海水1リットルには平均30億個のウィルスが存在し、地球の海には4000000000000000000000000000000個のウィルスが含まれているというから、金星にも、なんらかの形で、「生命」が存在したとしても、僕は、今更驚かない。それは僕らが想像してる「生命」とは全然違うものかも知れんけど。
地球も宇宙もまだまだ知らないことだらけ。だから、面白いことだらけで、退屈することがないっすよね。この宇宙に生まれてよかったよかった。