リキシャ〔6365〕2020/09/18
2020年9月18日(木)曇り
弊社では、バングラディッシュから来られた方が働いておられます。よくある研修生とかではなくてね。
今年の初め、奥様がバングラディッシュへ里帰りされてた時にコロナ騒動が勃発。日本へ帰って来れんなってました。つい先日、やっと来日、しかるべき隔離期間、手続きを終えて、この度、なんとか高知へ戻って来られました。で、そのバングラ土産が、これ。ありがとうございます!
なかなかよくできてまして、嬉しいので今日はそれをご紹介。「リキシャ」の模型。手作り感満載の、素敵な模型。
バングラディッシュで最もポピュラーな交通手段と思われる「リキシャ」は、後ろにお客さんが乗れるようになった三輪車。戦時中、日本兵が使っていた「人力車」という言葉が語源と言いますね。語源はともかく、どこへ行くにもリキシャが便利なお国柄のようです。
リキシャの運転手は、リキシャワーラーと呼ばれ、「田舎からやってきた貧困層が最初につく仕事」と、このページには書かれています。ダッカ市内だけで1万車以上走ってるというから、すごい。今はコロナでどんな状況になってるんでしょうか。ちょっと、心配。
手元に「最暗黒の東京」という本があります。明治中期、日清戦争の前の東京で、その最下層社会に入り込んでルポルタージュした、日本のノンフィクションの原点。「国民新聞」に連載されたそうで、当時、東京に幾箇所かあった「貧民窟」のリアルな様子が描かれています。この本では「貧窟」とか「飢寒窟」とかと表現。
著者の松原岩五郎は、実際に「残飯屋」に雇ってもらい、短い期間ですが働いています。士官学校の残飯を集めてきて、商品にし、「飢寒窟」で暮らす人々に売る商売。
飢寒窟で暮らす人々の職業は「日雇取」「土方職人」「紙屑買い」「蛤鯏売り」「足駄直し」「鋳物師」「襤褸師」などなど様々やけど、一番多いのが「人力車夫」。半分が人力車夫だったそう。
人力車の車夫は、大都会東京の底辺を支えていたのでした。
「石榴坂の仇討」で、阿部寛が演じていた元水戸浪士が、明治の世になって人力車夫をやっていた設定は、この「最暗黒の東京」の状況を知ってから観ると、よく理解できますね。阿部寛の人力車夫は格好良すぎたけど。
閑話休題。
「最暗黒の東京」には「車夫の食物」という項目がわざわざ立ってて、人力車夫が、そこでどんなもの食べてたのかを描写してます。
丸三蕎麦ー小麦粉の二番粉と蕎麦の三番粉を混ぜて打った粗製の蕎麦
馬肉飯ー骨付き馬肉をコソゲ落とし、ご飯にぶっかけたもの(非常なる膏の匂い強く鼻を打ちて喰うべからざるがごとし)
煮込ー屠牛場の臓腑、肝、膀胱、舌筋等を細かに切り、田楽のごとく貫串し、醤油に味噌を混じたる汁にて煮込みしもの(味異にしてとても常人の口に入るべからず)
深川飯ーバカ貝のむきみに葱を刻み入れて熟烹し、白飯を丼に盛りてその上へかけて出す即席料理なり(尋常の人には磯臭き匂いして喰うに耐えざるがごとし)
グルメレポートの評価としては散々やけど、どれも今の築地の食事に通じるものがあって、なるほど、と思わされます。深川飯はそのまんまやし、煮込はホルモン丼だ。吉野家一号店の原点みたいな丼も、あるし。築地と違って、値段は、べらぼうに安かったみたい。
リキシャワーラーも、彼らのコミュニティの中で、彼らにとってはなくてはならない独自の食文化を築き上げてるんでしょうねー。ムスリムなので、諸々制限はありそうやけど。ムスリムなので、酔っ払いはおらんし、諸々ちゃんとしてそう。いつか、行って、食べてみたい。
素敵なおみやげ、ありがとうございました!
部屋に飾らせていただきます。