フランス積みへのこだわり〔6335〕2020/08/19
2020年8月19日(水)晴れてますねー
夏は暑い。それでいいと思います。夏は、暑いもんです。
でも、熱中症対策は万全にね。牛乳飲んで、熱中症に備えましょう。免疫力もアップするし。
今日は高知県でも、かなり山間部へ来てます。会社で一仕事済ませ、6時に出発してやってきました。仁淀川町大崎。
平成の大合併までは、吾川村大崎。吾川村の村役場がありました。そう。仁淀川を中心に広がる山村の中心が、大崎。ここでは、仁淀川の本流に、北側から土居川が流れ込みます。土居川上流には旧池川。そして旧伊予街道。つまり、大崎は交通の要衝、結節点でありました。
その、土居川が仁淀川へ流れ込む地点に架けられている橋が、川口橋。現在車が通る国道の橋は、昭和41年に架けられたもの。その隣には、昭和10年に架橋された美しい旧川口橋がそのまま残されており、橋の上は「ふれあい広場」として利用されてます。
この橋は、「国土の歴史的景観としての価値が認められ、2005年8月に国の登録有形文化財に指定された。」とのこと。そんな旧川口橋。たしかに、美しい橋。
こないだ、レンガ積みの話の中で、この川口橋のことに触れました。そこに「すでに車は通れん」と書いたけど、嘘でした。ああ。僕は嘘つき。
いやね。旧川口橋の渡口には「ふれあい広場」と書かれており、橋の上には簡易な屋根とかが作られてるので、てっきり車は通れんなっちゅうと思い込んでました。
今朝行ってみると、通行止めにはなっていないではないか。通ろうと思えば、通れるみたいです。大きい車は無理やけど。
つまり、昭和10年に架けられた橋は、今も現役で、重量物の重さに耐えてるということ。その技術の美しさよ。
こないだも書いたけど、この橋脚にはレンガ積みが使われています。今朝、確認してみると、5本の橋脚のうち2本がレンガ積み。しかもこのレンガ積みが貴重なのは「フランス積み」である。ということ。すごい。すごくないですか?
レンガの短い面のことを「トン」、長い面のことを「ツー」としましょう。
高知でも、木屋橋や物部川橋の橋脚に積まれているレンガは「イギリス積み」。
トントントントン
ツー ツー
トントントントン
ツー ツー
こんな積み方ね。
ところがここ、川口橋はフランス積み。
トンツートンツー
ツートンツートン
トンツートンツー
ツートンツートン
このレンガの橋脚をよく見てみてください。実は、このフランス積みって、結構貴重なんですね。明大正期から昭和初期の建築物や構築物には、イギリス積みが多いから。
色んな説があるけど、明治政府が鉄道を建設する際に技術指導をしてもらったのがイギリスだから、という話があります。明治維新直後は、フランスの影響が強くてフランス積みだったのが、いつしかイギリス積みが中心になった。関東大震災で、フランス積みの方が被害が大きかったから、みんなイギリス積みになってしまった、という話もあります。フランス積みの方が古い建物が多かった訳やから、仕方ないと思うけど。
どっちが強いのかは、知りません。
言えるのは、この川口橋をつくった技術者には、「フランス積み」に対するこだわりがあっただろう、ということ。そのこだわりのお陰で、今、僕らは貴重なフランス積みの橋脚を、こうやって楽しむことができるという訳ですな。すごい。すごくないですか?
ここ大崎には、戦国末期、大崎玄蕃という武将が大崎城を拠点にして頑張っておりました。その大崎玄蕃は、実は武田勝頼である、という話、こないだ書きました。少なくとも地元では、その伝説で盛り上がってます。
高速道路ができて、あまり通ることもないかも知れません。が、武田勝頼伝説とフランス積みのレンガ橋脚が魅力的な大崎をお忘れなく。
旧川口橋の上は、とても涼しいです。仁淀の川風が吹き抜ける。
暑い夏の日、橋の上で涼みながらビールでも飲んで、ゆっくりするのもいいと思いました。まるで川床。