忘れてた2020年5月の新刊〔6232〕2020/05/08
2020年5月8日(金)晴れ
初夏の日差しが眩しい朝。コロナのことが嘘のように、心地よい風が吹き抜ける。
こないだ、ひまわり文庫2020年5月の新刊、旧刊をご紹介したけど、一冊、忘れてました。それは、電子書籍だったから。僕は電子書籍が苦手で、普段は読まんので、忘れ果ててたんであります。ごめんなさい。
これを書いた山内一也先生、すごい人みたいです。日本のウィルス学を牽引して来られた人物みたいですね、どうやら。現在88歳。で、この「ウィルスの意味論」が出版されたのが一昨年だから、86歳で、こんな最新の知見を網羅したウィルス本を書かれてるんだ。すごい。
読んでみたけど、面白いです。深いし。広いし。読みやすいし。
ウィルスについての研究は、今世紀になって急激に進んできたものらしい。言い換えると、近年まで、全然進んでなかった「ウィルスとは」みたいな研究が、ここにきて一気に進み始めてる、ということ。
今まで、ウィルス=病原ウィルスというイメージだったけど、それはウィルスの一面でしかなくって、30億年以上昔から地球に存在し、生物と抜き差しならない関係を持ち続けてきたのがウィルスであること、わかってきてます。
色々賛否はあるみたいやけど、このスマホのKinddleに表示してある新しい概念が示されてるんですってね。
今まで「生物」と言われてきた、細菌、真核生物、そして古細菌と呼ばれてたアーキアをひっくるめて「リボゾームをコードする生命体」と呼び、ファージとかアーキアウィルスとか真核生物ウィルスとかのウィルスをひっくるめて「カプシドをコードする生命体」と呼ぼう、という概念。なるほど。
こないだは、この本に書かれてる、ウィルスの起源について紹介しました。
もちろんそれはこの本の一部で、全編を通じて、ビックリするような研究成果や事実、知見が散りばめられてます。
例えば。
ヒトゲノムの約9%が、3000万年~4000万年前に霊長類の祖先に感染したウィルスが残った「内在性ウィルス」であること。我々の身体を構成するタンパク質をコードする遺伝子がわずか1.5%しかないのに。これはいったいどういうことか。
例えば。
水中には、それこそ天文学的な数のウィルスが存在してる、という事実。海水1リットル中には、平均30億個のウィルスが存在し、地球上の海水には4000000000000000000000000000000個のウィルスが含まれてるらしい。そのウィルスをつないで鎖をつくったら、その長さは銀河系の直径の100倍を超えると言われてもね。なんともイメージできんくらい、おるんですね。ウィルスくん。
例えば。
今までは細菌よりもずっとずっと小さいのがウィルスと思われてきたけど、細菌より大きいウィルスも発見されたりして、もう、わけわからん。
それが変異を繰り返したりする訳なので、大変だ。
例えば。
ヒトのガンウィルスであるEBウィルス。ガンの原因にもなったりするウィルスなのですが、「伝染性単核球症」という疾患の原因でもあるそう。このウィルスに子供が感染すると、風邪のような症状だけで治るけど、思春期以後に感染すると、約半数のヒトが「伝染性単核球症」を発症するとのこと。日本では20歳までに90%以上が感染するけど、欧米では成人になって感染する例が多い、と、この本には書いてます。
なるほど。今次のコロナ、地域や年齢によって、感染力や重篤化率に差があるみたいに見えるけど、それは上記のようなウィルス世界のことに鑑みたら、サモアリナン、という話だということ、わかります。
内在性ウィルスも、コロナになんらかの影響を与えてるのかも、知れない。
などと素人ながら、ウィルスのことがわかってきたような気になる、「ウィルスの意味論」。
今、書店とかには、ウィルスについての本がたくさん並んでるけど、僕は山内先生の本、お勧め。おすすめやけど、紙の本だとちょっと高かった。なので、安価なKindle版にしてしまい、ちょっと後悔してる、初夏の朝。
やっぱし、本は紙がえいねー。パラパラできるし。