新型コロナと酪農業〔6166〕2020/03/03
2020年3月3日(火)
高知県内のほとんどの小中高校は、明日から休校。高知市の小中学校は、6日から休校。そうなるとどうなるか。
一部で報道されたりしてるけど、日本全国で大量の余剰乳が発生しています。仕方ないけど、なかなか難しい問題ですね、これ。
生乳生産というのは、非常にデリケートな需給バランスの上に成り立っています。生乳自体が、日持ちしないから。そしてその需給バランスには、毎年の学校給食のスケジュールなども織り込まれてます。
夏休みは長いけど、あの時期は、一年でも一番搾乳量が少ない時期。一年で最も生乳生産量が少ない時期で、しかも暑い時期なので飲用の消費が多いんですね。だから、長期の学校給食の休みでも、受給は成り立ってます。生乳は余らない。
ところが今の時期。この寒い季節は、年間でも最も生乳生産が多い時期。乳牛にとって過ごしやすい時期なんですね。そしてまだ寒いので飲用消費は、少ない。だからこの時期に学校給食が長期間なくなると、生乳は、大量に余ってしまうのであります。
余剰乳をそのままにはできません。腐ってしまうので。そこで、日持ちする脱脂粉乳とバターに加工する訳ですが、今、その加工工場がフル稼働で動き始めたけど、なかなか間に合いかねてるのが、現状。とにかく廃棄乳を出さないことが最重要なので、業界挙げて必死なのであります。
もう一つ。
同じ生乳なんですが、飲用向けにするのと、脱脂粉乳やバターにするのとでは、乳価が違うんです。同じ生乳でも、用途で取引価格が違う。ややこしいでしょ?
この仕組みについて説明を始めると何ページにもなってしまうのでやめちょきますが、簡単に言うと、脱脂粉乳やバターにするのは、余った生乳の処理という意味合いもあるので、乳価が安く設定されてる、ということなんですね。でないと、メーカーはわざわざ手間と費用をかけて脱脂粉乳やバターにしませんので。うまく需給調整をしていく仕組みが、これ。ややこしいけど、これでうまくまわってるのが、日本の仕組みです。いや、世界中で、似たような仕組みが取り入れられてるのが牛乳の世界なんですね。
と、いうことは。
今回、予期せぬ「バターや脱脂粉乳への加工」が大量に発生する、ということは。全体として、生乳の取引価格が引き下げられる、ということに、なります。つまり、酪農家さんの手取りが大きく減る、ということです。
微妙な年間サイクル、需給バランスの上に成り立ってるこの仕組みが崩れたとき、業界はパニックになるのでした。
そんな訳で、この事態を、なんとか最小限の被害で食い止めようと業界挙げて頑張ってるのが、今。
そこで皆さんにお願い。
学校給食がない間、できるだけ、ご家庭で牛乳を飲んで欲しいのです。そうすることで、酪農家さんの不利益が、少しでも軽減されることになります。もし処理しきれずに廃棄乳でも発生した日には、エライことになってしまいますし。
学校給食で飲むはずだった牛乳を、ぜひご家庭でも飲みましょう。そのまま飲んだり、ホットミルクにしたり、他のものと混ぜたり。
もちろんヨーグルトもOK。免疫力が高まるので、一石二鳥ですね。
あと、飲むだけではなくて、料理とかに使うのも素敵。
例えばJミルクのホームページでは、こんなに多彩な牛乳を使った料理のレシピが公開されてます。調べてみたらクックパッドにもありました。
学校給食がなくなると、直接売上に響くということもあるけど、上に書いたような酪農全体への影響がとても大きいんですね。
そんな訳で、この新型コロナ禍を、みんなで乗り切り乗り越えていきましょう。牛乳を飲んで食べて。
業界を代表しての、お願いでした。勝手に代表してるけど。