吸江〔5902〕2019/06/13
2019年6月13日(木)晴れ!
昨日は、高知県牛乳普及協会と四国地区中小乳業協同組合の総会、懇親会。行政、生産者、メーカーなどなど牛乳関係者が集まって、意義ある時間を過ごしました。
今日は今から高知県畜産会総会で、夕刻にはまた、ある公的団体の総会で、明日は高知県食品外販協同組合の総会で、明後日はある施設の評議員会で、とまあ、総会みたいなのが続く続く続く続く。今時分が総会ピークね。これもまた毎年のこと。
毎年のことではないのが、大般若会。高知新聞に、五台山の吸江寺で、創建700年法要である大般若会が催された、という記事が載ってました。すごいね、これ。動画もYouTubeに上がってるけど、僧侶20人で大般若経400巻を一気に読むんだって。すごい迫力。
創建700年というから、創建は1318年。ん?701年ではないのか?
まあ、細かいことは気にしない。
今日の畜産会総会は、五台山南の埋立地で、あります。なので、五台山の吸江寺さんの前を通って撮影してきました。書いてるように、禅寺。臨済宗の古刹、吸江寺。ぎゅうこうじ、と読みます。
鎌倉末期のこと。執権北条高時のお母さんの執拗な招きを受けた夢窓疎石は、その誘いから逃れるように、土佐へとやって来る。で、五台山東麓に、庵を結んで、住む。それが丁度、700年前なのか701年前なのか、まあ、その頃だ。その庵に「吸江庵」と名付けたのは、だから、夢窓疎石ということになります。後醍醐天皇や足利尊氏も師と仰いだりして、夢窓国師とも呼ばれた偉い人。
その「吸江」の由来は。
中国の仏教書「碧巌録」が出典なんだそう。禅宗の公案集ね。だから、なかなか理屈っぽくて難しいんだけども、その出展になった部分を転載してみよう。
居士問馬大師。不與萬法為侶是什麼人
大師云。待汝一口吸盡西江水。即向汝道
これの意味は。
龐居士が馬祖道一禅師に質問した。「世界のあらゆる存在と与しない、独立自存の人とは、いったいどのような人ですか」。馬大師が答えて「お前が西江の水を一口に飲みつくしたら、それを教えてやろう」。
といったことらしい。つまりだ。禅が目指す、独脱無依の絶対主体を確立したような人物なら、西江の水を一口で飲み干せるだろう、といった意味なんでしょうかね。知らんけど。
この公案で、千利休は大悟したというから、禅宗では有名な公案らしい。
「そんな奴、おらんやろう」と解釈して良いのだろうか。独立自存の人なんぞ、おらんやろう、と。
俗人中の俗人を自負する僕としては、そんな解釈しかできない。
都の政争の中で、権力者の誘いを断って土佐へやってきた夢窓疎石が、風光明媚なこの場所に結んだ庵につけた名称ということを考えると、なんとなく夢窓疎石の思いがわかってくるような気がするけど、気のせいかもしれません。
南北朝の騒乱から観応の擾乱まで、常に政権中心部に近い位置にいた夢窓疎石は、禅宗の理想と、自分の実際の立ち位置、現実との乖離を見据えて、この汝一口吸盡西江水を選んだんでしょうかね。いや、素人の浅い考えです、はい。
吸江庵はいつしか吸江寺となり、この界隈は風光明媚な「吸江」という地区になったけど、この公案の意味を理解して「吸江」を使っている人は、少ないと思います。