小さな公園〔5732〕2018/12/25
2018年12月25日(火)晴れ
今年もあと一週間を切りました。カウントダウンというヤツか。毎年のことながら、会社は慌ただしい年末を迎えてます。早朝から出勤しました。
写真は今朝、4時頃の唐人町。与力町に車を置いてたので、静かな静かな鏡川縁りを歩く。
堀詰から南へ、真ん中に緑地帯がある広い道路の突き当たり、鏡川の土手の上には小さな公園。忘れ去られたような公園が、小さく佇んでます。
市のみどり課も、ここに公園があったこと、すっかり忘れてました、てな感じの草ぼうぼうの佇まい。でも、よく見ると、結構モダンだ。
この公園は、僕らが子供の頃からあります。昭和30年代に整備されたんだと思う。セメントむき出しのベンチが時代を感じさせてくれるけど、公園全体の設計は、なかなかにモダン。
向こう側が一段高くなってるので、両脇の階段から上っていけるようなしつらえ。その手前は噴水というか池というか、水はないけどそんな感じの小洒落た設計。階段上がった所の樹々とベンチの配置もなかなか魅力的。
時代がかったブランコ。煉瓦積みみたいに見せた柱。
そう。僕らが子供の頃につくられた公園は、こんな感じだった。今の公園は、カラフルでプラスチッキーな子供用の遊具が置かれ、塀や生垣も取り除かれてオープンスペースみたいになってます。が、僕らが遊んだ公園は、セメントでできていて、そのデザインは大人が楽しんで作ったようなものだった。公園を作る思想が大人目線だったと言えばそれまでだけども。
もう、あの頃の佇まいを残す公園は少なくなったけど、ここは数少ない昭和感満載の、公園。
唐人町。
戦前まで、この土手には豆腐屋さんが並んでたと言います。藩政期、元親が朝鮮出兵で連行してきた人たちの子孫が、豆腐商いの特権を与えられて住んだ唐人町。以前にも書いたけど、この北側の城下町を守る水防の役割も担っていたんだと想像します。土手の構築、メンテナンスをやらせる代わりに、豆腐商いの特権を与え、利益も供与する。江戸時代の小さな政府は、うまく民間の力を活用していた。特権の裏にはインフラあり。これ、重要な法則ね。江戸時代の。
今、公園の整備の際には、地域住民とかが参加したワークショップとかが行われるようになった。行われん場合もあるようだけど。随分前、僕らが遊んだ松渕川公園の改修のワークショップに参加したことあります。面白いのは、それまで存在して親しんでいたシンボリックなものは、新しい公園にも面影をとどめたい、という想いが多かったこと。松渕川公園だと、真ん中の丸いベンチと、帆船のオブジェか。
八軒町公園では、真ん中の、自転車でウネウネ周回できるやつ。
親しんだ公園の、親しんだ風景は、新しくなっても残していきたい、というのが親しんできた人たちの想い。
この場所に豆腐屋が並んだ面影は、もちろんまったく残っていない。この、時代に取り残されたような公園は、これからどうなるんだろうか。
子供の姿がめっきりと少なくなった今。このモダンな雰囲気を残し、眼前の鏡川を眺めながらゆっくりと読書でもできるような、そんな公園がいいね。