ひまわり文庫、2018年10月の新刊〔5648〕2018/10/02
2018年10月2日(火)快晴!
もう、10月か。秋本番。食欲の秋、読書の秋。でも、ひまわり文庫10月の新刊は少し少なめ。しかも軽め。オーテピアで借りたりするケースが増えたので、いたしかたないでございますろう。オーテピア、恐るべし、です。
さて。上段左端。「死国」。ご存知、坂東眞砂子さんの傑作。映画化もされました。こないだ、斗賀野文化の会で坂東さんのことを喋るにつき、久々に読んでみた。坂東さんの小説、静かに始まり、胸がザワザワとし始め、終盤に一気に怒涛の展開で読者を坂東ワールドに引き摺り込んで行くのが、一つのパターン。すごいです。この本も、終盤の押し寄せてくるような展開が、すごい。
その右。三冊、伊坂幸太郎が並ぶ。伊坂幸太郎の本は、読後感がジメジメしてなくて、良い。先月も書いたけど、ストレス解消に、良い。頭を休めたいときとか、リフレッシュさせたいとき、一気に読むと良い。どの本も、一気に、1日で読めます。
今月は、比較的初期の作品。先月ご紹介した「オーデュボンの祈り」で重要な役割を果たす案山子が登場したりする、少しシュールな展開の話。
「ラッシュライフ」は、時間を行ったり来たりしながら、なんとも独特の話が広がっていく。そして収縮し、いつものように、なんとなくほんわかしたラスト。
「グラスホッパー」は、現実離れしたシュールな設定、ということでは「オーデュボンの祈り」の系譜で、本当に、一気に読めてしまい、爽やかな読後感。
「重力ピエロ」は、少し趣きが違うけど、これもやっぱし伊坂ワールド。春が二階から落ちてきた、で始まって、同じ言葉で終わる。見事だ。
その右。「今日から使える微分方程式」。簡単に読めるかと思ったらさにあらず。なかなか大変でした。まだ、「今日から使え」てません。でも、数学はちょっと、頭のリフレッシュには、なる。これ、ホント。
その下。「右翼の戦後史」。明治に始まる右翼の源流。自由民権運動などと密接な関係を持ちながら、紆余曲折しながら進む右翼。軍部と結びついた大正昭和の右翼。そして戦後、日本の右翼の歴史をわかりやすく、詳細に紐解く。そして。現代のネット右翼と、今までの右翼の決定的な違いを明らかにし、その上で現代社会の問題点を浮き彫りにする。知っているつもりで知らなかったことも、かなりありました。ちゃんと勉強しましょうね。
「昭和の怪物 七つの謎」は、戦後史の研究家として著名な保阪正康さんが、東條英機、石原莞爾、犬養毅、渡辺和子、瀬島龍三、吉田茂などにスポットをあてながら、昭和史の、何が問題だったのかを考える佳本。保阪正康のすごいところは、半藤一利もそうだけど、直接、その歴史の当事者達から夥しい数の話を聞いていること。だから、説得力が、すごく、ある。
「戦争の日本中世史」は、「応仁の乱」で有名になった呉座勇一さんの、本。専門である日本の中世史を、定説、新説織り交ぜながら独自の視点で構築していってます。6月の新刊でご紹介した「陰謀の日本中世史」が面白かったので、金高堂さんで書いました。期待通り。
最後も金高堂さんで書いました。ブルーバックスの新刊。「フォッサマグナ」。この藤岡換太郎さんの本は、軒並み買ってます。「山はどうしてできるのか」から始まって、「三つの石で地球がわかる」まで。地学の面白さが凝縮。日本列島や日本海、教科書に載る大規模構造のフォッサマグナまで、その成り立ち、理屈がまだよくわかってない、という事実。地学の奥深さ。その大きな謎のひとつ、フォッサマグナの成り立ちについて、藤岡先生なりのとんがった考えを披露している。面白い。
昨日、ノーベル医学生理学賞を、京大の本庶佑さんが受賞されることが決まった、というニュースが飛び込んできました。本庶さん、こんなこと、言うてます。
「教科書に書いてあることも簡単には信じず、自分の目て見て納得することだ。」
そうだ。自分で見て、考える。自分で、考え、行動する。
世界は、謎と不思議に満ちているから、考えることや見ることは、無限に存在します。自分で、興味を持ち、見て、考え、行動する。
10月の新刊でした。