南嶺の生き物たち〔5610〕2018/08/25
2018年8月25日(土)雨のち曇りのち晴れ
蒸せる。今朝は、雨、降ってました。今日は午後から仕事で忙しいので、午前中、南嶺をたつくってきたのであります。家を出て、最初のうちは、雨。雨の中を走るのは心地よいですね、ホント。
筆山を駆け上がり始めた頃から雨はあがり、時折お日様も。こうなってくると、蒸せる蒸せる。山の中もスチームサウナみたい。少し動いただけで汗が吹き出して、雨の中走ったよりもビショビショ。べしょべしょ。ああ。雨が恋しい。
久々の南嶺RUN。といきたかったのですが、今日は山の生き物が気になって気になって。特に、倒木、腐朽木が、気になる。こないだ、南方熊楠の本を読んだりした影響ですな。細菌やキノコなどによって分解が始まった倒木は、地球の生き物の営みが凝縮されている。そして、運が良ければ南方熊楠が、昭和天皇が、愛して止まなかった粘菌、つまり変形菌が発見できるかも知れないのだ。これはもう、バタバタと走ったりしている場合ではないぞ。
と、言う訳で、山道の両脇に転がる倒木を観察しながら、じっくりまったり南嶺をたつくってきた、土曜の朝。。
でも、たぶん、たくさんの変形菌が、僕を出迎えてくれたんだと思う。
3億年前。地球では、裸子植物である樹木が、リグニンという頑丈な外装を身につけ始める。それまでの地球上の最近ではなかなか分解できない、リグニン。分解できないので、寿命を終えた樹々は、分解されないまま地中に堆積していく。大量の二酸化炭素を引き連れて。
地球上の二酸化炭素が減少、酸素濃度が高まり、寒冷化が進む。どんどん進む。そのまま進むと、全球凍結、つまりスノーボールアースになりかねんかったところに登場したのが白色腐朽金。今も、倒木から生えているキノコの仲間が白色腐朽菌で、それがどんどんとリグニン、樹木の分解を始め、地球は全球凍結せずに、すんだ。
しかし、今度は分解が進みすぎる懸念が持ち上がる。バクテリアや最近がどんどんと繁殖し、樹木や動物遺体を分解する。落ち葉や倒木が少なくなり、土壌は栄養分とともに水に流され、地球は乾燥してゆくかも知れない。
そこで重要な役割を話すのが、変形菌。変形菌は、倒木を分解する菌やバクテリアが主食。それを捕食することで、生態系のバランスが保たれ、今の美しい森が維持されているとも言われてます。
数え切れない種類の生き物が、絶妙のバランスの中で生き、この大自然を維持していることの不思議さよ。
写真は、山道の真ん中に落ちていた不思議な植物のオブジェ。紺色の丸い玉は、胞子嚢みたいにも見えるけど、なんだろうか。間違いなく、ここで、子孫を残す為の活動をしています。美しい。
東京の明治神宮は、大正になってから人工的に設計され、植樹され、成長してきた森。ですが、そこには今、夥しい生物が暮らす。明治神宮の森の、人間の片足面積の下に、どれだけの生物が棲んでいるか調べた研究があります。それによると、ムカデ1.8匹、ダニ3280匹、トビムシ479匹、クマムシ12匹、ワラジムシ11匹、線虫74810匹、ヤスデ0.5匹、ウズムシ48匹、ハエ・アブ幼虫103匹、そしてなんと、ミミズが1845匹なんだって。どうやって調べたのか知らんけど、すごい。
明治神宮で、それだ。この南嶺の森には、どれだけの生き物が暮らしているんだろうか。想像を絶する、夥しい種類と数の生き物たち。
そのことに思いを馳せながら山をたつくったらね、もうね、走っている場合ではありません。
僕らは大自然の中で暮らし、大自然とともにある。夥しい生き物の果てしない循環、連鎖の中で、僕らも生きているということを、実感する。それは、とても大切なことなんだろうと、思う。
ともあれ、この胞子嚢みたいなの、何だろう。