変形菌と鉄道路線図〔5595〕2018/08/10
2018年8月10日(金)薄曇り
よさこい。昨日は前夜祭で、花火。今日明日が本番。そして後夜祭。今朝は少し曇ってますが、これっぱあのお天気の方が、踊り子さんたちにとって安全。ギラギラお日様が照り付けると、熱中症が心配になります。とは言え、甲子園の野球ではないですが、高知のよさこいには青い空と夏の日差しがよく似合ったりもします。高知の街はよさこい一色。
とは言え。
僕らは普通にお仕事お仕事。街に近づくと、よさこいの雰囲気に飲まれてマイマイしてしまうので、今日はできるだけ近づかないようにしておこう。
さて。南方熊楠と粘菌。南方熊楠の生き方と思想に触れて、プチマイブームが訪れてます。南方熊楠が愛して止まなかった粘菌。今は、変形菌というのが一般的なんだそう。そして「変形菌ずかん」というのを買ってしまった。これを持って山をたつくりに行くのが楽しみになった今日この頃。
しかし面白い生き物ですな、変形菌。熊楠の時代には、植物であるのか動物であるのかという議論が盛んに行われてました。今では、動物、植物、菌類の定義から外れた「真核生物のグループ」という位置付け。あるときはアメーバになって動き回り、あるときはキノコのように胞子をつくる。この生物を見ながら、熊楠は、生物が生きる、とはどういうことなんだろうかという思考を複雑に深めていったのでありました。興味深い生物、変形菌。
昭和天皇がいくつかの新種を発見したのも、変形菌。間も無く終戦記念日を迎え、昭和天皇の平和への希求が思い起こされる時期になる。その昭和天皇は、粘菌(変形菌)の研究者としても有名で、実際に、5種類の新種を発見しました。主たるフィールドは赤坂離宮内苑、那須、逗子など。僕らは入れないような場所ではあります。
でも変形菌、近所の公園でも発見できるんだそう。世の中は不思議に溢れてる。
不思議と言えば変形菌、今までに二度の「イグノーベル賞」を受賞しているんだそう。一度目は、変形菌の変形体が迷路を解く、という研究。
二つ目が、この写真。左側が、関東地方の鉄道路線図。赤い丸は主要都市。で、右側。赤い丸に相当する場所に、変形菌の好物であるオートミールを置く。そして、変形菌の変形体を移植。変形体は、餌を求めて広がってゆく。どんどん広がってゆく。そして、出来上がったのが右側の写真。変形菌は、餌を合理的に、最も効率的に摂取できるような形状になる訳で、それでできあがった形が、鉄道路線図とそっくりであった、という研究。
誰が考えたか知らんけど、面白い。寺田寅彦的研究ですな。
変形菌の興味深い性質から、社会の交通インフラを考える。これ、交通網とか下水道網とか、そういった社会インフラの設計に活用できるんだって。変形菌、おそるべし。
変形菌を観察し、こんな研究に結びつける発想。これは見習わなくっちゃ。
牛乳が熱中症予防に最適、という研究を、なにかとんでもなく有用な社会インフラに結びつける研究をしてみようか。変形菌を使って。
ともあれよさこい。みんな、熱中症予防に牛乳を飲んでから出かけましょう。公園の木陰とかで、たっぷりと休息も取りましょう。公園の木製のベンチや、木の杭、隅っこの倒木などに、変形菌が生きているかもしれませんので、探してみるのも良いかも知れません。