ひまわり文庫、2018年5月の新刊〔5495〕2018/05/02
2018年5月2日(水)小雨
今日は連休の谷間で、雨。降るなら今日でしょう。今日だけ降って欲しいところ。
さて。ひまわり文庫5月の新刊。いつもと比べて少し、マニア度は低いと思う、5月の新刊。一気に読める小説がこんなに並んだのは初めてだ。
左端。こないだ、五台山のてっぺんでやっていた古本市で買いました。なんと、100円。小栗虫太郎の黒死館殺人事件は、若い頃に読んだけど、今更ながら読み返して見ると、すごい。昭和初期に書かれたこの探偵小説は、中井英夫の「虚無への供物」と並び称される奇本。次から次へと披露される博学さが尋常では無い。現代の小説ではお目にかかれない細密さ。
その右も、同じ古本市で買いました。「土佐の峠風土記」。もちろん僕のツボ。県下のいろんな峠を踏破し、紹介してます。こないだ七子峠から旧久礼坂を降った際にも、参考にさせて頂きました。これからの活躍が期待される「土佐の峠風土記」だ。
その右は言わずと知れた今年の直木賞受賞作「銀河鉄道の父」。こないだ誕生日に社員さんたちに貰った図書カードで買いました。宮沢賢治の意外な素顔と、それを見守る厳格にして甘々の、父。こういう視点で描く宮沢賢治は新鮮で、さすが門井慶喜と感心してしまった。一気に読めます。
一気に読めると言えば「凶犬の眼」。3月の新刊でご紹介した「孤狼の血」の続編。広島ヤクザと悪徳刑事を描かせたら、柚月裕子の右に出るものは存在しないね。痛快丸かじり。いやね、文庫化されるのを待ってました。しかし金高堂で、著者サイン本として一冊だけ残ってたので、買わざるべからず。そりゃあ、買います。それにしても、仁義なき戦いファン必読。女性がこんなヤクザ本を書くというのも、なんか、すごい。
その右。お子様向けでもあります。「ざんねんないきもの事典」。弊社が、青汁「菜食健美」や山地酪農牛乳、ジャージー牛乳などでお世話になっているコープ自然派さんの、共同購入のカタログに載ってたので、買いました。生物の進化がおもしろおかしく語られてます。
「涙香迷宮」は、新聞の書評欄にあったので、買いました。明治期の土佐が生んだ鬼才、黒岩涙香の残した謎を、天才囲碁棋士である少年が解いていく。まあね。ちょっとね。ミステリとしては、無理無理感があって、ちょっと疲れる展開ではありました。やはりミステリは西澤保彦だ。
門井慶喜「新撰組颯爽録」は、門井慶喜さんがリスペクトする新撰組を、まったく新しい視点から取り上げた佳本。「銀河鉄道の父」もそうだけど、全然違う視点から歴史上の人物を描くのは、門井さんの真骨頂。一気に、読める。
最近よく売れているのが「日本軍兵士」。太平洋戦争で、兵士は、実際にどんな生活をし、どんな思いで過ごしていたのか、。資料を渉猟し、建前ではない、本当の戦争を描き出す。かなりショッキングな描写もあるけど、今の若者たちに読んでもらいたいですな。本当に。
またまた門井慶喜で、「天才たちの値段」。美術探偵と称する男が、美術品を鑑定をしながら、謎を解くミステリ仕立て。以前にも書いたけど、この門井さん、マニアだ。何のマニア、というのではなくて、色んなことをマニアックに調べ、知識として積み上げる。非常に親近感が湧き上がる。
最後。「中井英夫戦中日記 彼方より」。
中井英夫は、僕が若い頃に嵌った幻想文学の巨人。もちろん「虚無への供物」から中井英夫の世界に入っていった訳だが、彼が学徒出陣で参謀本部にいた戦争末期に、軍部への批判などを堂々と書き記した赤裸々な日記。天才鬼才と言われる中井英夫の素顔に触れることができる、日記。
この本、京都の恵文社一乗寺店でみつけて、買いました。
ご存知の方も多いと思う。「世界で一番美しい本屋10」というイギリスのガーディアン紙が選んだ本屋に、日本で唯一選ばれたという恵文社一乗寺店。小さい本屋さんですが、そのラインナップはすごい。何時間でも過ごせる本屋さん。こんな本、恵文社でないと並べてません、絶対。
おまけ。高知県畜産振興課さんが作成した、土佐あかうし、土佐ジロー、はちきん地鶏などなど、高知の畜産物が美味しく食べられるお店のカタログ。最新バージョンができあがりました。これ、便利です。
そんなこんなの5月の新刊。今回は、数学とか宇宙とか地学とかは、なし。珍しい新刊になってしまった。まあ、こんな蔵書もないとね。