ひまわり文庫、2018年3月の新刊〔5435〕2018/03/03
2018年3月3日(土)晴れ!
良いお天気。今日から「土佐のおきゃく」が始まるので、お天気が良いのは善き哉善き哉。
3月に入ったので、3月の新刊。今朝、会社に来てから先月を中心に読んだ本を整理してみました。先月だけぢゃあないけどね。
手前に広げているの。これは「えんぴつで方丈記」。金高堂さんで、ついうっかり買ってしまた本。ポプラ社が出版している「えんぴつで・・・」シリーズは、シリーズ累計150万部売れているんだって。お手本があり、その上をえんぴつでなぞる。それだけ。でも、これを少しづつ毎朝やると、集中力が高まる。その日の精神状態が自分にわかるし、心を落ち着かせることも可能。字も、少しだけマシになった気もするし。気のせいかも知れんし。でもまあ、これは良い。方丈記の鴨長明の思いが、文章をなぞることで心に沁み入ってくる。鴨長明は、僕が思っていた鴨長明ではありませんでした。文章を丁寧になぞってみたら、わかってきた。鴨長明の、心。
右端。「義経伝説」と「為朝伝説」。日本の中央政権が、その支配地域を東西に広げていた時代。ご存知源義経と、鎮西八郎の異名をもつ源為朝は、もちろんその行動、事跡もあるけど、それ以上に伝説化され、義経は北海道、為朝は琉球にまで行ったとこになっている伝説が、ある。なぜ、そんな伝説ができ、広がっていったのか。日本の国家の広がりと、人々の感情がつくりあげていく伝説。
「面白くて眠れなくなる数学」。面白くて眠れなくなるシリーズの一冊。まあ。僕は、眠れますけどね。最近流行りの、数学本の一冊だ。
「我々はなぜ我々だけなのか」。ジャワ原人やフローレス原人の世界的研究者である海部陽介さんの研究に基づき、科学ジャーナリストの川端裕人さんがまとめた、面白い本。数万年前まで、地球上には原人、旧人、それにホモサピエンスが入り乱れ、たくさんの種類のホモ属が存在した。なのに何故、現在は我々ホモサピエンスだけなのか。確かに、不思議だ。
最後の方で海部先生が提議される壮大な仮説も含め、我々ホモサピエンスの中には、それまでの人類の歴史が隠され、同居しているという、とても想像力が喚起させられる本。
「数学の魔術師たち」。これね。小学生から大人まで、数学が堪能できる本、と「はじめに」に書いているんだけども、そうか?
無限、トポロジーなど、とても難しい最新数学の概念が素人にもわかりやすく?書かれてます。これこそ、難しくてすぐに眠れる数学。
「北欧の神話」は、金高堂さんで平積みしてました。北欧文学の研究者さんが、キリスト教以前のヨーロッパの信仰、思想の世界を、北欧の神話を読み解くことで解説。面白いです。
今回ご紹介する本の中でも、これは衝撃的。「孤狼の血」。
女性作家がね、ここまでヤクザの世界をリアルに、ドラマチックに描写できるのか、と驚愕させられる本。呉の広島ヤクザがモデルなので、セリフの言い回し、行動が、僕の大好きな「仁義なき戦い」そのまんま。この作者、柚月裕子さん、もちろん「仁義なき戦い」に多大な影響を受け、リスペクトして書いてます。痛快丸かじり、とはこのことだ。すごい作家がいたもんだ。また、「仁義なき戦い」を観たくなったぞ。
ここで異色の「ノックの音が」。僕が中学生の頃によく読んだ星新一。こないだ実家の書棚にあったのを取ってきました。全編、「ノックの音がした」で始まるショートショートの傑作。こんなジャンルもあったんだ、と、懐かしみながら読めます。
「構造素子」は、ハヤカワSFコンテストで大賞を受賞した、最近のSF。最新の物理理論などを散りばめた、今風のSF。でも、意外に読みやすく、一気に読める仕上がり。最近のは、こんなんですね。知ってました?
最後は昨年の直木賞受賞作「月の満ち欠け」。とにかく巧いといわれる佐藤正午さんの代表作。直木賞受賞作は読んでみなくっちゃ。
面白かったです。たしかに、上手。そうきたか、という感じで、設定も展開も上等舶来。一気に読める娯楽作品。さすがですね。佐藤正午、いくつか読んでみよう。
で、確かに技巧が素晴らしく、一気に読める面白さが魅力の作品なんだけど、巧さで言えば我らが西澤保彦さんが、上だと思う。高知市在住の本格ミステリ作家、西澤保彦さん。坂東眞砂子さんご存命の頃、一緒に飲んだこと、あります。
西澤さん、まだ、直木賞とってない。直木賞作品や、直木賞候補作品を読むにつけ、西澤保彦さんの凄さがわかってきます。
とまあ、3月の新刊。2月は短いので、少し少なめでしたでしょうか。「孤狼の血」、ヤクザ映画が好きな貴方は、必読です。