ひまわり文庫、2018年1月の新刊〔5376〕2018/01/03
2018年1月3日(水)良いお天気
お正月も、天気に恵まれて何よりでした。高知はとても心地よいお正月。よい一年のスタートになったぞ。善き哉善き哉。
今朝は、会社へRUN。走って行きました。らじるらじるで箱根駅伝を聴きながらね。普通の駅伝と箱根は別物。別競技である、と誰かが言うてましたが、まっことそう。だから箱根は面白い。
で、会社に到着。今日も皆さんお仕事ご苦労様です。本当にご苦労様です。
そんな訳で、今年最初のひまわり文庫新刊。2018年1月の新刊をご紹介しよう。今回も面白いぞよ。
左端に立ててあるのは季刊高知。今回の特集は「宝物のような、小さな名店」ですが、豊ノ島へのインタビューも必見。さすが、豊ノ島。すごいです、彼は。
奥に立てているのは秦史談の最新号。秦史談会の機関紙ですが、面白い歴史の論文、エッセイが珠玉のよう。いつもいつも、これを編集する松本さんや岩崎さん、岡村さんには頭が下がりっぱなしです。本当にありがとうございます。
で、「排泄物と文明」。地球上に生物が生まれてから現代に至るまで、生物が排泄するものに注目し、文明との関わりを獣医さんが綴った本。ちょっとね。視点や単語などが欧米文明に偏っているのが、読みづらかったけど、まあ、面白い。
「古道巡礼」はですね、9月にご紹介した「山の仕事、山の暮らし」を書いた高桑信一さんが、今は廃れた日本の古い道を歩いた本。ゼンマイ道であったり、猟師の道であったり、イワナ釣りの道であったり、砥石を運ぶ道であったり、電源開発をする道であったり。ほとんどが、今は使われなくなって荒れた道を探りながら歩き、往時の生活を想像する。
これ、少し前の日本の生活を体感できる本として、かなり優れもの。引き込まれてしまった。
同じヤマケイ文庫で、かつて、日本に「秘境ブーム」を巻きおこしたという「日本の秘境」。ただ、これは、土佐清水とか、日和佐から室戸への海岸道は今との比較で面白かったけど、「古道巡礼」ほどの深さ、味わいを感じることはできなかった。ちょっと、イキがった感じの文章がね。ちょっとね。
その隣。「人格転移の殺人」は、実は新刊でもなくて、随分前、作者の西澤保彦さんと飲んだりした頃に買うて読んでた本。こないだ出張へ行く際にBook Offでついつい買ってしまい、汽車の中で一気に読み返しました。さすがの西澤ミステリー。久々に読んだけど、「やられた」感と。最高の読後感。また、西澤さんと飲みに行かなくっちゃ。
「黒部の山賊」は知る人ぞ知る、山の名著。伊藤正一さんという、黒部の奥地で山小屋をやられていた方が、山の人々を描いた名作。危険極まりない山賊と言われていた人たちが、猟師やイワナ釣りを生業とする人々で、山のスペシャリストであったこと。その人々との交流と、下界との関わり、山での不思議なできごとなどを素晴らしい筆致で描いた本。山の奥地の主、みたいな人物が、いかに山を愛し、山で暮しているのかがよくわかる。あっと言う間に引き込まれ、あっと言う間に読んでしまった。超おススメ。山の男たちは凄まじい。
「アップルを創った怪物」。アップルと言えばスティーブ・ジョブズだが、この本はもう一人のスティーブ、スティーブ・ウォズニアックの自伝。ジョブズと一緒にアップルを立ち上げたウォズニアックは、人類に、個人用のコンピューターという新しい文化をもたらした張本人。ぜんぶ、彼がつくった。
こないだの大晦日、少し書きましたね。この、正統派からは少し外れた、しかしとんでもない発想力と技術力を持ったエンジニアがいなけれな、アップルは存在せず、今の社会の有り様は、全然違うものになったかもしれない。すごい人物であり、すごい生き方であり、ジョブズとまったく違う意味での天才ウォズニアックのことが、よくわかりました。すごい。引き込まれまくり、一気に読破。
「リンドグレーンの戦争日記」。新聞の書評欄に載ってたので、早速購入。面白い。
「長くつ下のピッピ」や「名探偵カッレ君」、知ってます?
僕は、家にその本があったので、子どもの頃に読みました。多分今も実家にあると思う。児童書としてはとても秀逸で、皆、大好きだったと思う。その本の著者、リンドグレーンが、第二次世界大戦が勃発してから1945年の大晦日まで書き綴った戦争日記。スウェーデンの一主婦が、これほどまでに戦争のことをわかっていたのか、と驚く。手紙の検閲という仕事をしていたせいもあるのだろうが、それにしても、これを読んだら第二次世界大戦の流れがよくわかります。中立国の生活者の視点から。
遠く離れた太平洋で真珠湾攻撃が行われたり、シンガポールが占領されたり、アッツ島が玉砕したり、という情報が日記に書かれてるのには驚く。スウェーデンの、一人の主婦の日記にね。
その日記の終盤頃に、児童向けの本を書き始めたという記述が現れ、長くつ下のピッピのことも少し出てくる。
この日記があって、そしてピッピが生まれたという時系列。この本も引き込まれて一気に読んでしまいました。
「もう一つの幕末史」は、半藤一利さんが、薩長史観を批判しながら「本当の幕末」とは何だったのかを考察した佳本。珍しく、龍馬のこともたくさん出てきます。龍馬が生きていたら、戊辰戦争は防げていたのかも知れない、という視点。僕も、そう思う。一気に読めます。
そして右端。「炎の牛肉教室」。
僕の大切な友人、山本謙治さん、通称「やまけん」が、本当の牛肉とは、本当においしい牛肉とは、といったことについて熱く語った本。
霜降り肉、という和牛独特の価値観に一石を投じる。本当においしい牛肉を求めて、自分で肉牛のオーナーになったりしているやまけんの、熱い本。
やまけんと、土佐あかうしとの出会いの場面に、僕の名前もちょっと出てくるのが、嬉しい。えっへん。
そんな訳で、今月の新刊は、僕好みの、一気に読めるものが多くありました。
ああ。やはり読書は面白い。