書跡〔5038〕2017/01/30
2017年1月30日(月)星は、見えます
昨日の夕刻から雨が降り、今朝はこれまた暖かい朝になりました。いったいこったい何℃あるんだろうか。
さて。そんな訳で、昨日、行っちょりました。会社からの帰りがけ、高知県立歴史民俗資料館に寄って帰ったのでありますね。企画展「幕末の土佐 書跡にみる人物群像」。
昨日の高知新聞に、吉田東洋の漢詩や手紙が見つかった、という記事が載っちょりました。その「大震行」という吉田東洋さん直筆の漢詩や、江戸の師匠に宛てた手紙など、その企画展で昨日から展示。興味深く拝見させて頂きました。
吉田東洋と言いますと、カミソリのような頭脳と強烈な行動力、というイメージ。では、文字や文体はどうか、と申しますれば、ちょっと違う感じ。意外に几帳面な文字を書きます。上手ですよ、実際。芸術的というよりも、やはり実務的な文字と言えましょうか。
その他、たくさんの幕末土佐人の文字が展示されちょりました。もちろん、文人墨客として名の知れた人々の素晴らしい作品もありますが、興味深いのは、そういったプロではない、普通の有名人。
中岡慎太郎、巧いです。何流というのか知りませんが、小西湖の衝立とかに「いろはにほへと」と書かれちょったような、文字。なかなか芸術的で巧い。謹厳実直なイメージとは、ちょっと違う筆跡。
吉村虎太郎は、極端な右肩上りの、激烈な文字。虎太郎らしい、と言えば、らしい書体。
武市半平太、ご承知の通り、センスが良い。彼は芸術的天分にも恵まれちょりました。日本画も上手に書きますもんね。子供の頃からキチンと教育を受けた、という感じの絵画や文字。それが武市半平太先生。
龍馬は、実に龍馬のイメージ通りの文字を書きます。内容も奔放であれば、字体も奔放。しかし、全体を眺めると実によくバランスが取れ、芸術的ですら、ある。半平太はキチンとした師匠について努力した、てな感じですが、龍馬は生まれ持った天性を自由に発露している、という感じでしょうか。
あと、山内の歴代の殿様の文字も、なかなか良い。これはもう、小さい頃からの訓練の賜物でしょう。
意外だったのが、最後の土佐藩主、16代藩主山内豊範侯。肖像画などを見る限り、少し線の細い感じがするのですが、文字は実に迫力満点。驚きました。あんな迫力のある文字、書くんだ。県展に出品したら、特選、という感じの文字でした。
こうやって見てみると、本人のイメージと筆跡、一致する人も居れば、全然一致しない人も、居ます。
たぶん、僕は、イメージ通りのダキな文字を書きます。これではいかん、と思いながらも、今更なかなか練習ようせんですきんね。で、基礎ができてないのとデッサン力が無いのはわかっちゅうので、筆で文字を書く際には、全体のバランスだけを考え、一つ一つの文字を上手に書こうとは思わんようにしちょります。そうやってごまかすんです。
こないだ、社員のT君がやって来て、僕にとんでもない依頼をするではないか。ひまわり杯フットサル大会というのを、親しい企業チームを集めて開催するので、その表彰状を書いてくれ、と。
そう。既成の文字とかはまったく無くて、「表彰状」という文字から始まって全部。文面も考えろ、とのこと。
頑張りました。
普段の僕の文字を知っている人なら、そんなことして良いの?と思うでしょうが、まあ、なんとか、バランスの良いものは書けましたよ。もちろん上手な文字ではないが、バランスと全体を見た感じだけは、必死になって考えました。
ああ。文字、大切ですね。大切です。
写真は今朝、4時前の潮江天満宮。拝殿前に積まれた酒樽。各社、それぞれのブランドイメージを表す字体で、商品名が書かれています。
文字、大切です。