物部川、鮎、地層〔5007〕2016/12/30
2016年12月30日(金)晴れ!
良いお天気の年末。僕は、明日まで仕事なので、今朝も夜明け前に出勤しました。今、日の出は朝の7:10頃。その時刻に合わせて、三宝山と日の出が両方映り込む場所まで、物部川土手を遡上してきました。
今の季節、お日様は、一年で一番南から昇ってきます。ので、かなり北に来んと、三宝山と一緒に撮影できません。もう少し北へ行くと戸板島。
物部川。この場所は、瀬になっていて、鮎釣りのポイントの一つ。その瀬の向こうからお日様が昇る。左端に「物部川右岸 4K/200」と書かれた表示板。ここは河口から4.2km。地理院地図によりますれば、標高は21mくらい。
以前にも書きましたが、物部川は、鮎の稚魚の放流をやめ、産卵場を整備して、天然鮎で生きていこうとしています。そして、かなりの成果を上げてきました。
しかし、上流のダム底に大量の土砂が堆積してしまった為、大雨による川の濁りが長期化するなどの脆弱性があり、良いときにはとても良いが、大雨に弱い、という性格を持っています。
昨年末の大雨でせっかく整備した産卵場が流出し、今年の天然鮎の遡上状況は、あまり良くない。と、言う訳で、この冬の落ち鮎漁は全面禁漁となってしまいました。残念。
でも、この取り組みの方向性は、間違ってないと思います。これからの活動にも、期待します。
写真。てっぺんにオブジェが見える山が三宝山。正式には金剛山。あの山が模式地となって、三宝山層群という地質名称がつけられちょります。秩父累帯南帯。あの山の向こう側にが仏像構造線が走り、その向こうは新しい四万十帯という地層。
あの山は、概ね、昨日ご紹介した野市の上岡山と同じ地層。後期ジュラ紀〜前期白亜紀に、南海トラフで付加、変形した地層。で、尾根筋は、同時期に同じ場所で付加したものですが、海底火山を形成していた玄武岩が付加したもの。その玄武岩の生成時期は2億年以上前のペルム紀だ。そして。
そこに、更に、石灰岩ブロックが含まれています。
ペルム紀からジュラ紀にかけて。遠い遠い南の海底が、プレートの移動によって北上してくる。海洋プレートは、基本、重い玄武岩。その移動中に、地球内部からのマグマの噴出で火山ができる。次から次へと、できる。できた火山は、少しづつ沈みながら北上するので、カルデラは環礁になり、サンゴ礁が形成される。サンゴ礁は沈みながら北上を続け、南海トラフで陸上プレートに沈み込みながら、付加し、盛り上がって山となる。サンゴ礁であった部分は、石灰質に富み、石灰岩になる。
そんな仕組みには、興味ないですか?
あの山のてっぺんには、2億年前に遥か南の海でできた火山の痕跡が、ある。
川向こうの野市の台地は、12万5000年前の、地球温暖化による海水面上昇で浅海底となり、古物部川が四国山地から運んできた土砂が堆積してできたもの。その後の海退で陸地となり、物部川によって開削され、段丘となった。
そんな仕組みには、興味ないですか?
地質学的な時間軸で言うと、今の物部川の姿は、あっという間にできたもの。
人間の知恵で、人間と共存できる、良い川にしていくことは、できると思います。知恵を絞ろう。