宇宙の散文〔4833〕2016/07/09
2016年7月9日(土)曇り
昨夜から今朝にかけて、よく降りました。今日はなんとなく雨も上がって、曇りのお天気。少しだけ、蒸せます。
今朝、会社に出て高知新聞を読んでおりましたら、毎月第2土曜日だけ掲載されております「この星のかなた」という連載に目が止まりました。月1回の連載ですが、高知新聞の読者にとっては、なかなか面白い読み物だと思われます。この連載の副題は「138億年の旅」。
そう。この宇宙が誕生してから138億年。
高知出身の理論宇宙物理学車、須藤靖さんが、宇宙の不思議や面白さをご紹介する連載。最先端の宇宙研究者が、わかりやすく宇宙の魅力を説いていく。
今朝の話題は、カニ星雲と超新星爆発と、藤原定家の日記「明月記」の話。
宇宙と日本の古代文学が結びつく例として、よく引用される話ではありますが、須藤先生、カール・セーガンの「私たちの体は星屑からできている」という有名な言葉を紹介しながら、「はるか昔、どこかの大質量星の中心で合成された元素が、超新星爆発によって宇宙にまき散らされ、それが皆さんの体の材料となっているのです。この自分の体を作っている元素のもとをたどれば、今は消え去っている星の中心部だったことを知るとなんだかゾクゾクしてきませんか?」と語る。
宇宙を研究するような皆さんは、超理系人間であるのは間違いないが、同時にロマンチストであったりもする場合が、多いと思います。いや、ホント。
そんなことを考えながら、ナショナルジオグラフィック日本版のWebを読んでおりましたら。
「その星では、1つの季節が約140年も続き、影はときどき3重になり、空から鉄の雨が降ってきて、日の出と日の入りが見事なまでにばらついているかもしれない。空に見える太陽の数は、1つのときも、2つのときも、3つのときもある。」
これは、SF小説の始まり部分でも、詩人による作品でもない。
でも、どう見ても、SF小説の見事な導入部分だ。
これは、最近見つかった、地球から340光年離れた場所にある惑星のことを記述した文章。ナショジオの記者による、事実を書いた文章なんでありますね。
大体からして、太陽系外の惑星を観測する、などということが行われ始めたのは最近。それも、重力などを測定することで、状況証拠としての惑星を観測する、というのでした。それがですね、最近はですね、高性能の観測機器を使用して、直接観測も可能になってきているんだ。すごい。
上の不思議な文章に出てくる惑星も、直接観測で発見されたもの。
何故、そんな不思議なことが起きるようになったかは、ナショジオの記事を読んでみてください。
いや、宇宙というのは、すごい。
我々が直感的に想像する世界とは、全然違うもの。
そして、とんでもない偶然に満ちている。我々が、この宇宙に暮しているという奇跡は、物理学で考えれば、とんでもない奇跡の状態、バランスの上で成り立っているもの、ということが、最先端の研究でわかってきた、と言います。
そこで、宇宙は無限に存在し、その無限のものの中に、偶然、長く存在可能で生命も生まれる可能性があるような絶妙の、これしかない、というバランスの宇宙が存在し、それが、我々の宇宙である、という説も、唱えられている。
ここまでくると、もう、宗教ですな。
以前にも書きましたが、唯物論を極めると、最後は唯神論になってしまう、という言葉を想起してしまいます。
今日の高知新聞で紹介されたカニ星雲の中心部には、半径10kmの球体に太陽の質量が押し込められたパルサーと呼ばれる天体が存在し、1秒間に30回転している。この観測は、もう、随分前に行われたものですが、それにしても、我々の直感を超えますよね。
だから、宇宙研究は、面白い。
そして、最先端の科学者が、研究を突き詰めていくと、そこに現れる現象は散文に、なる。
「その星では、1つの季節が約140年も続き、影はときどき3重になり、空から鉄の雨が降ってきて、日の出と日の入りが見事なまでにばらついているかもしれない。空に見える太陽の数は、1つのときも、2つのときも、3つのときもある。 」