劔神社と津波〔4648〕2016/01/06
2016年1月6日(水)曇り
今日は、今年初めて、幡多方面へ行っちょりました。弊社中村支店と、お店訪問。
で、車で高知へ帰る途中、気になっちょったお宮さんにお参りしてきたのであります。劔神社さん。読み方は、たぶん、つるぎ神社さん。
黒潮町の灘という港の近く。国道56号線の、井の岬トンネル東出口から海へ下り、岬の方へと回る旧道へ少し入りますと、ステンレス製の鳥居が道路脇にありあす。そこに、長い長い階段。その階段を駆け上がると、海を見晴るかす高台。そこに鎮座まします劔神社。
社殿の前には、防災倉庫が置かれておりました。
社殿入り口は閉まっちょりましたが、鍵がかかっちゅう訳ではなかったので、開けて、入ってお参り。その社殿の中から海の方を撮影したのが、この写真。右手、戸の向こうに防災倉庫が見えております。
この場所の標高は、地理院地図によりますれば25mちょっと。ここは、南海地震津波の避難場所でもある訳だ。
ここは黒潮町。旧大方町の、灘。大方町になる前は、井田村灘であったそうです。
灘から国道を少し高知方面へ行くと白浜。旧佐賀町の白浜。しかし、昔は白浜も井田村で、井田村は、佐賀町になった集落と佐賀町になった集落があったことになる。
その境目の、旧大方町灘の山の上に鎮座まします劔神社。
ところで、南海トラフ地震で発生する津波の最悪予想が発表され、高知県黒潮町では、一番高いところの津波高が34.4mというショッキングな数値が出たのはご承知の通り。
黒潮町と申しましても、旧大方町と旧佐賀町で、広い。海岸線も結構長い。津波が高いのは、どの界隈なのか。
そんな訳で、高知県が公表しちゅう津波浸水予測図を見てみました。やはり、海岸の向く方角が、津波の高さに大きく影響しちょりますね。
津波は、南東の方角から北西へとやってくる。なので、東向きの、しかも入り組んだ地形のケースが、津波を高くする。
この予測図を見てもわかるように、この劔神社さん辺りから北へ白浜、そして佐賀漁港界隈の海岸線。ここが、やばい。
この劔神社さんの場所は、予測図の色分けでは15m〜20m。なので、25mの高さにある、このお宮さんは大丈夫。ここから北へ行くと、30mを超える色分けになっちゅう箇所が頻出。白浜の辺りとか。
そう。30m規模の津波が襲うのは、旧佐賀町の、東の海に面した海岸なのであります。
その海岸線を見ておりますと、白浜の、急斜面の標高30mの場所に白皇神社さんというお宮さんが見えます。なるほど。
この劔神社さんも、白浜の白皇神社さんも、津波に襲われない高さの場所に、わざわざ建立したのではないか。いや、たぶん、そう。
海辺の漁師町を守る鎮守の神様は、海岸ではなく、急な坂や石段を登った高い場所、津波に襲われることのない場所に建てられ、人々を守ってきた、と考えられます。
人々が海岸で暮らすようになってから、南海トラフ大地震と大津波は、幾度も幾度も集落を襲ってきたことでしょう。毎日、海とともに暮らすには、海岸に住むしかない。しかし、鎮守の神様は津波の来ない高台に鎮座し、大地震が発生したら、人々は、石段を登って神社に避難してきた。そんな歴史が想像できる。
海を見晴るかす高台の神社。
その高さには、意味がありました。
国が34.4mと発表する前から、人々の経験と知恵はこんなところに活かされてきた、と言えるのかも知れない。