現代語訳 土佐物語〔3696〕2013/05/29
2013年5月29日(水)雨
雨もアレですけんど、風が吹きますな。ちくと時化模様の高知県地方。そこで、今朝は部屋の中から。
この本、ご存知でしょうか。この3月に上梓された本。「土佐物語」現代語訳。宝永5年(1708年)、つまり宝永南海地震の翌年に、吉田孝世さんによって刊行されたのが「土佐物語」。土佐藩馬廻格ですきに、上士。長宗我部元親の重臣、吉田備後守重俊から数えて6代目。次男ですき、家督は継いじょりません。
この人物を中心に書き上げられた「土佐物語」は、ジャンルとしては所謂「軍記物」。戦乱の世を描いたスペクタクル巨編。描かれた時代は長宗我部元親時代を中心とした137年間。土佐の戦国。視点はもちろん長宗我部氏。
長宗我部重臣の子孫ということもありますし、その時代から100年〜200年経過してから書かれた、ということもあって、そのまま事実と思うてしもうたらいけません。あくまでも「軍記物」。事実と違う創作や、身贔屓ですねえ、長宗我部氏をちくと美化した記述も目立ちますが、それはそれ。読み物としてはこじゃんと面白い。
もちろん歴史資料としても、その成り立ちに注意し、キチンと噛み分けながら読めば一級品。様々な伝記や小説は、この土佐物語を種本にしちゅうケースも多いのであります。
しかし、その土佐物語。出版当時読まれたように、軍記物として楽しむには、それにふさわしい現代語訳がなかった。つまり、資料としての読み方しかされてこんかった訳で、それでは本にかかれた臨場感が、今の世に伝わらない。と、いうことで、この度中島重勝さんによって現代語訳が書かれた訳です。
ん?中島重勝?
と、思うた方はマニア。そう。長宗我部重臣に、中島与市兵衛重勝という人物がおります。この土佐物語を現代語訳するに際し、この著者が使うたペンネーム。ややこしいですが、この訳者の方、それと別に芸名もお持ち。小浜亭馬楽。「おばまていばらく」と読みます。この名前で、土佐の歴史を講談調で語ったりする方。ひまわり太郎とは、歴史つながりの友人であります。
本名は敢えて申しません。
この本、南の風社さんから、この3月に発刊されました。定価は6,000円。南の風社さんは、
edit@minaminokaze.co.jp
ですが、もしこの本のご興味がございましたら、南国市立田2471-2 島本茂男さん、080-6376-8530までお問い合わせください。にっこりひまわりを見て連絡したと言えば、嬉しいことがあるにかありません。
小生も昨夜から読み始め、まだ、途中ですけんど、これは面白い。軍記物は、このように一気に、めくるめくスペクタルとして読まんといかんですね。それで初めて、当時の雰囲気、空気、勢いがわかる。歴史資料としては注意して扱う必要もある土佐物語ですけんど、戦国土佐の空気を体感するには、非常に良いものであると思いました。
長宗我部時代のことについてもう一つ。
土佐物語は、文学として、そして時代の流れを鳥瞰する文書として価値がありますが、土佐の戦国時代の真実を探求するのに欠かせない貴重な文字資料に、長宗我部地検帳があります。この文書は、国内でも非常に珍しい、特定行政区域の詳細な検地台帳。これによって、様々な事実がわかります。
で、今回、その文書にでてくる荒(あれ)について地道な研究をされた「長宗我部地検帳の城郭に見える荒(あれ)について」という論文が評価され、土佐の歴史民俗研究者の優れた研究に送られる「平尾学術奨励賞」を受章したのが岡村庄造さん。
この方、県内石仏の拓本を丹念にとり、地道に地道に研究されてきたことでも有名。こういった、ホントに地道な活動をずうっと続けられゆう、素晴らしい人々によって、地域の歴史研究は進められゆう、ということを、改めて感じました。
お仕事としては大局にあるにかありませんが、両方とも、土佐の歴史に対する熱い想い、責任感をお持ち、という共通項があります。
今朝は、部屋の中から土佐の歴史についてのインフォメーションでした。
この「土佐物語」についてのお問い合わせ、ご購入は、南国市立田2471-2 島本茂男さん、080-6376-8530ですきんね、しつこいですが。