辷山のお花見〔3635〕2013/03/29
2013年3月29日(金)薄曇り
意外なようですが、今日は、このシーズン初めてのお花見。高知城。辷山。すべりやま。
このしゅっと下に、高知市酪農組合さんの事務所があります。ですきに、高知市酪のお花見はいつも辷山。
桜は満開をちょっと過ぎましたが、まだまだ美しゅうに咲き乱れちょります。散り始めですき、花吹雪が、それはそれは素晴らしい。ピンク色に染まった辷山に、ピンク色の雪が降ります。
辷山は、高知城のある大高坂山の北斜面、麓に近い場所にある広場。すべり山というくらいで、ここの斜面で、段ボールで滑ったりして遊んだもんです。ここは追手前小学校の縄張りでした。
このしゅっと北東には、警察の官舎がありました。まだ若い警察官や、子供の小さい警察官が住み、追手前小学校には、その子供達もどっしこ通うてきよりました。
その警察官舎のあった辺りには、今は、高知県警本部の巨大な建物が建ちます。
小生の祖父が書いた、「高知県の乳業史」という文章があります。そのなかから抜粋。
「高知県に乳牛が導入されたのは明治の中頃と聞いています。それは県有であって、現在の警察学校附近に牛舎があり、数頭の乳牛が飼育されていた。その 牛乳は一部の人びとの飲用に供されていたようである。この県有乳牛はそのために、池知春水氏が県から払い下げを受けて潮江村「高知市潮江」に畜舎を建てて 数頭を殖して本格的に営業を始めたのであります。」
ここに出て来る警察学校附近というのは、この、丸ノ内界隈であったと思われます。
そして、たぶん同じ頃のその風景を、明治40年になって、昔を思い出しながら美しい文章にした人物がおります。ご存知、寺田寅彦さん。有能な物理学者にして随筆家、寺田寅彦さんが「ホトトギス」に書いた文章の一部を転載します。
「帰り途に旧城の後ろを通った。御城の杉の梢は丁度この絵と同じようなさびた色をして、お濠の石崖の上には葉をふるうた椋の大木が、枯菰の中のつめたい水に影を落している。濠に隣った牧牛舎の柵の中には親牛と小牛が四、五頭、愉快そうにからだを横にゆすってはねている。自分もなんだか嬉しくなって口笛をピュッ/\と鳴らしながら飛ぶようにして帰った。」
間違いなく、「高知県の乳業史」に書かれた牛のことを、美しい文章で書いた文章ですね。
それはともかくお花見。
昼間っから、数組のお客さんがあちこちにブルーシートを敷き、楽しみよりました。風もなく暖かい金曜日。お花見日和。今週末の雨で、高知のお花見は、もう終わってしまうかも知れません。花見が終わると、夏。