お月様とガリレオ〔3585〕2013/02/07
2013年2月7日(木)晴れ!
今朝、4時過ぎ。東の空の、こじゃんと低いところに、お月様。月齢が26くらいですき、この週末には新月。そんな、美しい形のお月様。丁度、ブランコになりそうなくらいのお月様です。会社の東、物部川の土手上から撮影してみました。
こないだ、ガリレオ・ガリレイが書いた「星界の報告」という本を読みよりまして、実に感心しました。ガリレオは、16世紀から17世紀にかけて生きた、科学的、論理的思考の天才ですね。この本を読むと、時の権力者や宗教家とかにも気を使いながら、しかし、科学的に正しいことは、絶対に正しいとする、そんな矜持を読み取ることができるのであります。
1610年といいますき、日本では、江戸幕府が開かれてしゅっとの時期。ガリレオは、望遠鏡で観測した天体について、一冊の本を書きました。凸レンズと凹レンズを組み合わせて、世界で初めての、キチントした望遠鏡、この本では筒眼鏡と訳された器具をつくって、月や木星の衛星とかを観測した訳です。
望遠鏡(筒眼鏡)の発明者は、ガリレオではない。しかし、ガリレオのすごいところは、オランダ人の某が遠くのものが近くにあるように見える眼鏡をつくったという噂を聴いてから、その原理を自分でみつけだし、筒眼鏡を自作し、天体を観測し、検証し、そして「星界の報告」を書くまで都合10ヶ月であった、というところ。なんと言う思考力と行動力。
とにかく、好奇心満点であったことは間違いない。しかし、その、最初の筒眼鏡をつくったオランダ人も含め、ガリレオ以外の人々は、それを使って、色んなものを見て楽しむ、ということ以上までは発展せんかった訳です。ガリレオは違いました。
キチンと原理を解明し、より遠くのものが鮮明に見えるように設計、製作し、非常に科学的に観測してデータを残す、ということを初めてやったのがガリレオ。宇宙の原理に、この器具を使うて近づこうとした訳です。この本を読むと、そこのところが実によくわかりますね。
その本の中で、筒眼鏡の原理、構造について、キチンと幾何学的に説明した後、月の観測結果と、それから考えられる事柄について述べます。図解付きで。
で、その図解では、この写真のような三日月型のお月様を紹介し、その、内側の湾曲部の曲線をよく見ると、実は滑らかではなくてギザギザしちゅうことがわかった、と書きます。そして、このことから、月は、地球と同じような、デコボコのある表面をした球体である、と、論を進めていくのでありました。
夥しい観測結果を綿密に検証し、明るい部分と暗い部分のある理由を、非常に論理的に説明しちょります。
写真のように、コンパクトデジカメでズームして、拡大してみました。曲線のギザギザ、どうでしょう。わかるようなわからんような。400年前、自分で筒眼鏡をつくったガリレオが、それを観測し、その理由を見つけ出し、論証した。当時の宗教家とか哲学者が考えちょった世界観とか全然違うものやった訳で、こりゃあ目をつけられる訳です。しかし、厳然たる結果は結果であり、誰がなんと言おうと動かせません、というのがガリレオでした。
その本では、月の次に、木星の衛星についての報告が続きます。これがまたすごい。夥しい観測結果が図示され、その法則を見つけ出そうとする努力。
ガリレオは、たった60倍の望遠鏡で、4つの衛星を発見しました。しかし、どうやって。
木星をずうっと見よったら、その横に、なにやらポチが見える。その見え方が、日や時間によって変化する。おかしい。これは、地球が太陽の周りを回りゆうように、木星を回りゆう天体があるきに違いない。では、いくつが、どのように回りゆうのか。
そこでガリレオは、根気強く、時系列に沿った大量の観測データを蓄積したのでありました。今、考えたら簡単ですが、衛星は、木星の向こうに隠れたり、衛星同士が重なって一つに見えたり、と、見え方が一定ではない。それを、大量の観測データによって検証し、4つあることを突き止めたガリレオ。その過程も、これでもか、と言うばあ論理的でクドイばあ科学的。エライ人もおったもんです。
自分の、非論理的な頭を反省反省。
お月様がキレイやねえ、と、思うことはこじゃんと大切。それとは別に、事実を積み上げながら科学的に真理を構築していくことも、それも大切。早朝の、美しいお月様を眺めながら考えたこと。