新改発電所から松尾サイフォンに至る水路〔3521〕2012/12/05
2012年12月5日(水)晴れ!
良いお天気。結構冷え込みました。
昨日の夕方、香川へ行っちょりました。で、高知へモンて来るに、時間があったもんですき、途中で高速を下りて笹ヶ峰越えを通ってきました。夜の笹ヶ峰越えは、深い深い山中の真っ暗い道ですき、迫力があります。小動物も見かけました。
新宮の、霧の森から笹ヶ峰を越えて立川まで、途中、当然ですけんど1台の車にもヒトにも行き会わず。途中でパンクでもしたら、もう、どうやって直すがでしょうかね、真っ暗な山中で。
さて、昨日、甫喜ヶ峰疎水のトンネルをご紹介しました。調べてみますれば、巨大な甫喜ヶ峰に925mのトンネルを抜くのに、当時のことですき当然人力で、狭い。掘削の坑内で酸素不足が発生し、「唐箕(とうみ)」を並べてリレー方式で空気を送り込んだ、と書いちょりました。すさまじい苦労と努力。
しかし、豊かな水が流れる穴内川から新改川へと水を通す、という発想は、とてつもない効果をあげた訳です。
昨日も書きましたが、新改川は水の少ない河川で、その流域で繰り広げられた水争いは、筆舌に尽くし難いものがありました。それで、野中兼山の昔から、なんとかそれを解決したいと、気の遠くなるような土木工事が発想、計画されたということです。必要に迫られた、とも言えますね。
昨日の、甫喜ヶ峰のトンネルを抜けてきた水路は、急斜面を下って発電をしたりしながら、現在の新改発電所のところまで下ってきます。新改川を遡上していきよりますと、右岸の山肌にも豊かな水量の水路。どうやって?
たぶん、一旦新改川に水を落とし、途中に堰をつくって右岸にも取水しちゅうがでしょう。左岸では水力発電。
とにかく、落差はともかく、穴内川の豊かな水があって、はじめて、発電に必要な流量が確保できた訳ですき、疎水の威力、恐るべし。
新改川に落とされる水とは別に、発電所の下のところから、川の左岸のちょっと高い山肌を、水路が南へゆるやかに下っていきます。それがこの写真の水路。冷え込んだ朝、水路からは白い湯気が。この水路、向こう側に見える水道橋を渡り、右手の山の山腹を等高線に沿って流れていきます。ずうっとずうっと流れていき、そして、こないだご紹介した松尾サイフォンに至る訳です。
谷を渡る方法は、このように水道橋で渡るか、サイフォンでくぐり抜けるか。この谷くらい狭かったら水道橋でいけますが、松尾サイフォンの所のように広い広い谷は、あの、個人の出資と努力によってつくられたサイフォンが必要であった訳です。そのお陰で、山田駅の北側から鏡野にかけて、豊かな農地となっていったのでありました。すべて、穴内川の水をうまく何度も利用して。
ところで、昨日の写真の場所、危険につき立ち入り禁止と書かれた、水路脇の通路から撮影しました。疎水の近辺は、いたるかしこ、立ち入り禁止。四国電力さんの看板。そう。穴内川から疎水を通って新改発電所までは、たぶん、四国電力さんの管理。農業者の負担は、それで、うんと軽うなりますね。
そして、発電所から下、この地点から下流の水路は、そうはいかんでしょうき、松尾サイフォンも含めて、水路の水を利用しゆう皆さんによる共同管理になっちゅうがでしょうか。
先人の知恵と努力を活かすため、今も、受益者による努力が続けられています。