小与島の廃墟が教えてくれるもの〔2803〕2010/12/18
2010年12月18日(土)晴れ!
昨日は美しい太平洋をご紹介しましたので、今日はエーゲ海。ではなくて瀬戸内海。瀬戸中央自動車道を通って瀬戸大橋を渡りよりますと、途中に与島という比較的大きな島があり、サービスエリアや「フィッシャーマンズワーフ」という施設があります。1988年、瀬戸大橋が開業したときには賑わいましたよね。ものすごいブームやったですきに。
その後、あっという間にブームは去ってお客さんは減少、バブル崩壊も重なって、観光を当て込んだ瀬戸内の島「与島」は悲惨なことになってしまいました。まさしく「翻弄」されてしまいました。
昔から繰り返されてきた、「道路ができて交通が便利になったら、いっぱい観光客も来るようになって活性化するだろう」というトンデモ幻想が、ここでも見られた訳です。地域振興とか観光振興とかは、もっと地道で、知恵とセンスを使うもので、地に足が着いたもの。うまい話は絶対に転がっちゃあせんし、ヒトがつくってくれたものをアテにしても、絶対に失敗する、というがは歴史が証明しちょります。ホントです。
この写真は、経営者も変わって、細々と地味に営業を続けるフィッシャーマンズワーフの裏手から未舗装の砂利道を歩いていった島の東側から、東側の瀬戸内海を撮影したもの。右手に見えるのは小与島。瀬戸大橋ブームに便乗し、あの島全体をリゾート開発しょうとしたがの名残。今思えば無謀なことをしたもんですね。
こうやって遠くから見ると廃墟には見えず、地中海のような美しい景色になっちょります。
もうちょっと東の瀬戸内海では、直島や豊島、犬島などで、素敵な現代アートの空間がつくられよります。以前にもご紹介しました。船に乗って、ホントにたくさんのお客さんが訪れよります。これ、「ベネッセがやってくれたきねえ」と簡単に言う方もいらっしゃいますが、実はここまでくるには20年の地元の皆さんの努力があったがです。地に足の着いた努力と、知恵とセンス。それで20年。地域振興、観光振興とはそうしたもんぢゃ、ということを教えてくれる素晴らしい実例。ここの廃墟も、大切なことを教えてくれる実例。
さて、高知は、龍馬伝も終わり、何とかブームを引き延ばそうといろんなことを始めました。しかし、大切なことは。
歴史や文化のホンモノを大切にし、高知へ来てくれた皆さんに感動を与え、また来たくなるような工夫を、地道に地道にセンス良くやっていくこと。感動するのは、ホンモノであり、頑張るヒトの姿であり、次ぎに繋がるセンスの良い仕掛けなのであります。
釣り好き以外は、ここをビッシリ訪れようとは思いません。1回来れば充分。しかし、直島、豊島などの取り組みは、何度も行かんといかん気にさせてくれるもの。「観光客を呼んできて一儲けしちゃおう」などということは考えやあせんがです。どうやって喜んでもらおう、どうやって感動してもらおう、と、ひたすら考え続けゆうがやと思います。