立体長屋「沢田マンション」〔1183〕2006/07/12
2006年7月12日(水)曇り
今日は高知市の北部環状線界隈。薊野(あぞの)辺りへ来ちょります。この周辺、つい最近までは田んぼが広がるのどかな地帯やったがですが、北部環状線という大きな道路ができ、高知一の規模の大型ショッピングセンターやら郊外型の専門店やらがずらりと立ち並んですっかりポンと様変わりしてしまいました。最近の高知市で一番変化したのがこの界隈。
で、今までは、その田んぼの北側の山裾にひっそりと、しかしキッチリと存在感を示しよった、この「沢田マンション」が、突然表通りから見えるところへ躍り出てきたのであります。ご存知ですか?「沢田マンション」。
「沢田マンション物語」という本も刊行されちゅう有名な構築物が、写真のマンション。マンションというより「立体長屋」。
まず、この建物のすごいところは、沢田嘉農さん裕江さん夫婦が、ほとんど夫婦だけで設計「施工!」を行って、すべての作業を自分たちでやってつくりあげたものであるということ。そして、夫婦で増築を重ね、中は迷路のように部屋が組み合わされちゅう立体長屋になっていったのでありました。建物からそのまま植物が生え、ようわからん不思議なオブジェが並び、屋上には沢田さんによって作られたクレーンが鎮座ましましちょります。ご覧のように、車で3階まで行ける不思議なスロープがあります。で、外からはわかりませんが、その車の通路が建物の中を突っ切り、裏側から5階まで行けるスロープにつながっちゅうがやそうです。う~ん、すごい。
着工は昭和46年。実はその2年後くらいに、ひまわり太郎はこのマンションへ来たことがあります。友人がここへ引っ越して住みよったがを尋ねてきたがです。そのときからすでにモダンで不思議な雰囲気が溢れちょりまして、こぢゃんと印象深かったですね。
2003年に沢田嘉農さんは逝去されましたが、今では娘さん夫婦も加わって建設増築事業は続けられゆうとのこと。まるで生き物のように姿を変えていく立体長屋沢田マンションは、まさしく「高知遺産」と言えるでしょうな。