政経懇話会と辞書と山本さん〔7917〕2024/12/18
2024年12月18日(水)晴れ!
12月もいよいよ後半。生まれてから64回目の年の瀬も、押し迫ってまいりました。はやいねー、一年が。
さて。今朝の高知新聞「高知政経懇話会ノート」に、三省堂辞書出版部部長山本康一さんの講演内容がまとめられてました。高校の5年後輩やけど、なかなか優秀で面白い方。
この政経懇話会講演の為に帰高してて、居酒屋で僕と遭遇したのはついこないだのこと。あまりに驚き、また、嬉しかったので、このにっこりひまわりにも書かせていただいたことでした。いやー、奇跡でしたね。
懇話会での講演では、まず、大槻文彦先生の大著「言海」の話題から話されてます。おう。あの時、短い時間やったけど、「言海」「大言海」についても居酒屋で話したことでした。やはり国語辞書をつくる、ということに於いて、触れない訳には参らないんですね。
大槻先生、「言海」を17年かけて編纂し、刊行した際に「ことばのうみのおくがき」という長い長い文章を書いておられるそう。なるほど。確かに「大言海」でも、巻頭に「本書編簒に當りて」という長い長い文章がありますね。いや、ちゃんと読んだことなかったので読んでみました。大槻先生のご苦労がよくわかる、素敵な文章でした。
「筆執りて机に臨めども、いたづらに望洋の歎をおこすのみ。言葉の海のただなかに櫂緒絶えて、いづこをはかととさだめかね、ただ、その遠くに廣く深きにあきれて、おのがまなびの浅きを恥ぢ責むるのみなりき。」
懇話会では「言海」の序文も紹介されてました。
「文化の高卑を知らんと欲すれば、その国の辞書を見よ」
高らかな文化の発信宣言だ。なんという誇りと自負。いや、確かに辞書は大切。ネット情報やAI辞書でいいではないか、という人も多いと思うけど、やはり根底には「言葉」について人間の脳みそで深く考える、ということが大切だ、ということを山本さんは「極めて冷静に」教えてくれています。素晴らしいねー。
あの時は、白川静先生の「字通」や「字統」の話もしました。漢字の成り立ちについて、一人で研究し、解明し、構築していった辞書。辞書をつくることへの強い強い思いは、こんな大きな仕事を完遂させている訳で、こんな仕事はAIでは絶対に無理だと思う。
紙の辞書は、パラパラめくれるのもいいよね。なにかしら、心に響く言葉が目に飛び込んでくる。今朝も、あらためて三省堂「新明解国語辞典」をパラパラとめくって、楽しんでしまった。山本さん、講演の最後に、「新明解国語辞典」の「丘」の項目を読んでしめくくってました。いやー、「ストン」と落ちるね。
山本さんも時折出演されるYouTubeチャンネル「有隣堂しかしらない世界」では、「ゆうせか流行語大賞」の募集を行い、昨日で締め切られました。本命「極めて冷静に」。対抗「ストン」やけど、結果やいかに。12月26日の生配信で大賞が発表されます。楽しみ楽しみ。